[10日 ロイター] – ロシアのプーチン大統領は10日、ロシアに対する制裁は食料やエネルギー価格の上昇といった形で西側諸国に跳ね返るという考えを示した。同時に、ロシアは問題を解決しながら一層強大な国家になると宣言した。

プーチン氏の発言は、自身が主張する自国の銀行、企業、新興財閥(オリガルヒ)を狙った「経済戦争」にも耐え得るとロシア国民を安心させる狙いがある。

政府の会議で、ロシアがウクライナで行っている特別軍事作戦に代わるものはなかったと強調。ロシアは短期的な経済的利益のために主権を妥協することを受け入れることができなかったし、ロシアへの制裁はどのような場合でも課されただろうとした上で、「疑問や問題、困難があっても、われわれは過去に克服してきたし、今回も克服する。最終的にこれはすべてわれわれの独立、自給自足、そして主権の拡大につながるものだ」と訴えた。

ロシアは、欧州で天然ガスの3分の1を供給する主要なエネルギー生産国だが、各国地域から包括的な制裁を受けながらも、契約上の義務を果たし続けると確認。米国がロシア産原油の輸入を禁止したことで「物価は高止まり、インフレは前代未聞の高さとなって歴史的な水準に達している。彼らは自分たちの過ちの結果をわれわれのせいにしようとしているが、われわれは全く関係ない」とした。

<諸問題を解決>

プーチン氏は、2月24日のウクライナ侵攻以来、ロシアに科されている制裁が効いていると認める一方、「われわれは冷静に対応しながら、諸問題を解決していくことに疑いの余地はない。人々はいずれわれわれが閉鎖して解決できないような出来事は単純に存在しないことを理解するだろう」と述べた。

さらに、ロシアが農業用肥料の主要生産国であると指摘。西側諸国がロシアのために問題を引き起こせば、世界の食料市場に対する「負の影響」は避けられないと主張した。

ロシアのシルアノフ財務相は会議で、ロシアが資本流出を制限する措置をとっており、対外債務をドル建てではなくルーブル建てで返済すると説明した。

その上で「この2週間、西側諸国はロシアに対して経済的、金融的戦争を仕掛けてきた」とし、「このような状況下では、金融システムの状況を安定させることが優先される」と述べた。