[ワシントン 16日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)は15─16日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%ポイント引き上げ、0.25─0.50%とした。利上げは2018年12月以来3年3カ月ぶり。

同時に、経済は堅調であり、インフレ抑制のために必要であれば、今後の会合でより積極的な利上げを行うと表明した。

年内に残り6回の会合でそれぞれ0.25%ポイントに相当する追加利上げを実施し、年末までに1.75─2.00%の金利を見込む。2023年末の金利見通しは2.8%で、これはFRB当局者が景気減速につながるとみる2.4%の水準を上回る水準だ。

パウエル議長は記者会見で「われわれの考えとしては、全ての会合が(利上げの可能性のある)ライブ会合ということだ」と明言。さらに「もし、さらに早い緩和策の撤回が適切だと結論付けられた場合、そうする」と強調した。

また、借り入れコストが上昇し、緩和策が解除される環境下においても、米経済は力強く「繁栄」するはずだと予想。「金利を引き上げ、バランスシートの縮小を開始する時期が来ていることは明白だ」と説明した。

9兆ドル規模に膨れるバランスシートの縮小については、計画に大きな進展があり、5月に開かれる次回の政策決定会合でその詳細が確定する可能性があると明かした。

その上で、金融政策の引き締めにおいてバランスシートの縮小が重要になると強調。政策当局は2017年から19年にかけて債券保有額を減らしたときと同様のアプローチを取るが、より迅速に動き、より早く開始することになるという見通しを示した。

<景気は減速へ>

ただ、景気減速はすでに始まっている可能性がある。FRBは世界経済が直面する新たなリスクを考慮し、今年の国内総生産(GDP)成長率の予想を昨年12月の4%から2.8%へ大幅に引き下げた。

FRBは声明で「ロシアによるウクライナ侵攻は、多大な人的および経済的な困難を引き起こしている。米経済への影響は非常に不透明だが、短期的には侵攻と関連する出来事がインフレにさらなる上振れ圧力を生み出し、経済活動の重しとなる可能性がある」と指摘した。

<インフレ高進根強く>

今回の声明では、これまで国が直面する最も直接的な経済リスクとしてきた新型コロナウイルスに関する文言が外れ、コロナとの全面的な闘いの終結を示唆する格好となった。

一方で、40年ぶりの高インフレへの対処として、FF金利の「継続的な引き上げが適切になる」と予想。FRBが示した新たな金利の道筋は、インフレが想定以上に速く進行し、より持続化する恐れがあるというFRBの懸念を反映したものになっている。

FRBが予想するインフレ率は今年4.3%と、2%目標の2倍を超える見通し。その後、23年には2.7%、24年には2.3%に落ち着く見込みだ。

失業率は今年3.5%に改善し、23年もその水準にとどまるとみられるが、24年には3.6%とわずかに上昇すると予想される。

利上げは8対1で決定。セントルイス地区連銀のブラード総裁が反対票を投じ、0.5%の利上げを主張した。

ホワイトハウスのサキ報道官は、バイデン大統領の見解として、FRBが物価の安定に向け金融政策の再調整を行うことは適切と述べた。