[ワシントン/北京 18日 ロイター] – 中国の習近平国家主席は18日、バイデン米大統領とのオンライン会談で、ロシアとウクライナによる戦争を一刻も早く終結すべきと強調した上で、米国など北大西洋条約機構(NATO)加盟国にロシアとの対話を呼び掛けた。ウクライナに侵攻したロシアに対する非難の言葉は口にしなかった。
一方、バイデン大統領は、中国がロシアに物資的支援を行った場合、結果を伴うと警告した。
会談は2時間近くに及んだ。
中国の国営メディアや外務省の発表によると、習主席は、国家同士の関係が対立の段階まで進むことはできず、紛争や対立は誰の利益にもならないと指摘。「ウクライナ危機は私たちが見たくないものだ」と述べた。
さらに「今、最優先すべきことは対話と交渉を継続すること」であり、「民間人の犠牲を避けながら人道的危機を防ぎ、戦闘を停止し、できるだけ早く戦争を終わらせることだ」と強調。全ての当事者がロシアとウクライナの対話と交渉を共同で支援するとともに、米国およびNATOがロシアと協議を行うことで、ウクライナ危機の「核心」問題やロシア・ウクライナ双方の安全保障上の懸念を解決すべきと訴えた。
中国と米国は二国間関係を正しい軌道に導かなければならず、双方は相応の国際的責任を負い、世界平和のために努力しなければならないとした。
同時に、制裁措置で引き起こされる結果を警告。「広範囲に及ぶ無差別な制裁は国民を苦しめるだけだ。一段とエスカレートすれば、世界の経済、貿易、金融、エネルギー、食料、産業、供給網に対する深刻な危機が引き起こされる。すでに軟調になっている世界経済が機能不全に陥り、取り返しのつかない損失がもたらされる」と述べた。
台湾問題については、米中関係への悪影響を避けるために適切に処理される必要があると主張。中国は、台湾を必要であれば力づくで元に戻すべき離脱した省と見なしており、米国との関係において最も敏感かつ重要な問題であると明言した。
また「米国では一部の人が台湾の独立派に誤ったシグナルを送っており、非常に危険。もし台湾問題が適切に処理されなければ、両国関係に破壊的な影響をもたらすだろう」とした。
<ロシア支援なら結果伴う>
米ホワイトハウスによると、バイデン大統領は習主席との電話会談で、ウクライナの都市や市民を攻撃するロシアに中国が物質的支援を提供した場合の「意味と結果」について説明。「バイデン大統領は、危機を外交的に解決することへの支持を強調したほか、両国間の競争を管理するために、開かれたコミュニケーションを維持することの重要性で合意」した。
ある米政府高官は、両首脳の会話が「直接的かつ内容があり、詳細に及んだ」と評価した上で、バイデン氏は、中国がロシアに物質的支援を提供するとなれば、中国は米国だけでなく広く世界中から相応の影響を受けることになると警告。「中国が今後どのような決断を下すのか、われわれは見守ることになる」と述べた。
ホワイトハウスのサキ報道官は、今回の会談で、ロシアを支援しないよう説得するためのインセンティブについては話し合われなかったと述べた。
サキ報道官は、中国がロシアに物質的支援を提供した場合の「結果」、および米政府が何を「物質的支援」と定義するかについて具体的に明らかにしなかったものの、中国の巨額の貿易が影響を受ける可能性があると示唆。「手段の一つとして当然、制裁措置が挙げられる」と述べた。
その上で、米国はいかなる対応も欧州のパートナー国と共に中国に直接伝達すると語った。