[7日 ロイター] – ロシアのミシュスティン首相は7日、西側諸国の前例のない制裁によってロシアは過去30年で最も困難な状況に直面しているが、ロシアを世界経済から孤立させようとする外国の試みは失敗すると訴えた。
西側諸国はロシアにウクライナでの軍事作戦を終了させ、軍を撤退させるために実施した一連の経済制裁を次第に広げている。
ミシュスティン氏は下院議会で「間違いなく、現在の状況はロシアにとって過去30年で最も困難と言えるだろう」とし、「このような制裁は冷戦時代の最も暗い時期にも行われなかった」と語った。
西側の制裁によって、ロシアは世界の金融ネットワークから切り離され、国際送金・決済システムのSWIFT(国際銀行間通信協会)にロシアの主要銀行の多くがアクセスできない状態になっている。ロシア産石油の貨物輸送を拒否する交易企業も出始めており、ロシアの財政への圧力が強まっている。
制裁以前にロシアは今年、国内総生産(GDP)の1%に相当する1兆3000億ルーブル(170億ドル)の財政黒字を計画していた。ミシュスティン氏は7日、今年の歳入を全て政府からの補助に費やすと表明した。
政府はこれまでに、企業や社会保障、子供のいる家庭に対して危機管理的支援として1兆ルーブル超の支出を約束し、うち2500億ルーブルはロシア鉄道への補助に使われる予定だ。
ロシアは制裁の報復として資本規制を導入し、外国人投資家が国内から撤退する場合、産業・金融のいずれの資産の売却もほぼ不可能になった。
ミシュスティン氏は「撤退が必要でも、雇用を提供するための生産活動は続けるべきだ。国民が働いているのだ」と発言した。
ロシア大統領府は、撤退を決めた西側諸国の投資家が保有する資産を国有化する可能性を示唆している。
撤退する企業の一部が保有資産をロシア企業に移していることから、ミシュスティン氏はこの状況には新たなビジネスチャンスの可能性があるとの考えを示した。
ミシュスティン氏は「経済全体の生命線である金融システムは持ちこたえている」とし、「株式市場もルーブルも安定しつつある。他の国がこのような事態に耐えられるか疑問だ。われわれは耐えた」と言及した。