ロシアのプーチン大統領は、軍がウクライナの首都キーウ(キエフ)を電光石火で陥落させることに失敗した後、同国東部で勝利を収められると踏んでいるようだが、それは困難な任務になりそうだ。

  ウクライナ侵攻開始から6週間経過し、ロシアが軍事作戦を維持する能力の深刻な欠陥が明るみになっており、同国は戦争の目標を縮小せざるを得なくなった。現在は東部ドンバス地域を制圧して南岸地域をできるだけ抑えることで、2014年に併合したクリミア半島への陸路の回廊を確保することに集中している。

A Ukrainian national flag flies beneath chimneys outside the Luhansk thermal power station, operated by DTEK Holdings BV, in Shchastia, Ukraine, on Thursday, March 5, 2015. DTEK, Ukraine’s largest privately-owned utility, said it bought coal from South Africa after Russian supplies of the fuel stopped in November. Photographer: Vincent Mundy/Bloomberg

  英王立防衛安全保障研究所(RUSI)のアナリスト、サミュエル・クラニー・エバンズ氏は「当初の大きな目標よりも現実的だが、最も重要なのはスピードだ」と指摘。「ロシア軍は疲弊しており、勢いを維持して圧力を継続するのは難しくなる。多くはウクライナ軍の状況にかかっている」と述べた。

  ウクライナは「ドンバスを巡る厳しい戦い」に備えていると、ゾフクバ大統領首席補佐官代理はブルームバーグテレビジョンに語った。同国当局は民間人に対し、できるだけ早期に同地域から退避するよう呼び掛けた。

  米国の幾つかの推計によると、戦備を整えてウクライナに展開されたロシア軍部隊のうち最大3分の1は戦闘力を失った状態とされる。このため、ウクライナ軍を包囲するにはかなりの補強が必要になると、ポーランドのグダニスクを拠点とする防衛研究グループ、ロチャン・コンサルティングは分析する。

  西側諸国の当局者らは、ロシアが隣国ジョージアの親ロシア派支配地域に駐留する部隊の一部を援軍としてウクライナに派遣したことについて、兵力不足を示すものだと指摘した。米戦争研究所(ISW)によると、キーウ周辺から撤収してロシアに戻った軍が戦闘能力を回復するにはかなりの時間がかかる見通しだという。

米外交問題評議会(CFR)のリチャード・ハース会長は、ロシアとウクライナの停戦交渉が膠着(こうちゃく)状態にあるようだと指摘したSource: Bloomberg

  ウクライナとロシアの停戦交渉は膠着(こうちゃく)状態にあり、戦争の新たなフェーズの行方がより明確になるまでは再び動きださない可能性がある。

  プーチン氏は、モスクワの赤の広場で旧ソ連の対ドイツ戦勝記念パレードが行われる5月9日までに「何らかの勝利」の確保を目指していると、エストニアの対外情報機関のマラン長官は指摘している。

原題:Putin Army Regroups for Ukraine Showdown After Invasion Setback(抜粋)