[ブリュッセル 7日 ロイター] – 北大西洋条約機構(NATO)は7日の外相会合で、ロシアが侵攻を続けるウクライナへの兵器供与を加速させる方針で合意した。米国も新型兵器システムを提供すると表明した。

ウクライナのクレバ外相は外相会合で演説し「引き続き、石油・ガスの全面禁輸を主張する」と発言。さらに「ウクライナが提示している取引はフェアなものだ。あなた方が武器を供与し、われわれは命を懸ける。戦争はウクライナ国内に制限される」とし、ウクライナへの武器供与を加速させるよう求めた。

特にドイツに対して、ウクライナへの武器供与を急ぐよう要求。航空機、対艦ミサイル、装甲車、防空システムの供与を求めた。手続きに時間がかかりすぎると主張している。

ブリンケン米国務長官は、米国と他の30カ国がウクライナに武器を提供しており、こうしたプロセスは強化されると強調。「ウクライナが必要とする武器の供与を妨げるものは何もない」と述べた。

「新型システム」の詳細には踏み込まなかったものの、米国はすでにウクライナに対空システムや装甲車両などを提供することで合意しているとした。

ベーアボック独外相は、ウクライナへの追加の武器供与について同盟国と7日に協議すると述べた。

NATO会合には、欧州連合(EU)、フィンランド、スウェーデン、日本、ニュージーランド、オーストラリアも参加した。

クレバ外相はさらに、ウクライナ東部ドンバスにおける戦闘の状況は第2次世界大戦をほうふつとさせるとし、数日中にウクライナ向け支援を差し向けるよう訴えた。

また記者団に対しては、ウクライナが得る武器のリストではなく、武器供与の時期を巡り協議されたと語った上で、制裁はロシアに打撃を与えるものの、戦争を終わらせるには不十分と強調した。

EU加盟国は7日の大使級会合で、ウクライナ民間人殺害を受けたロシアへの制裁措置として、ロシア産石炭の輸入を8月半ばから停止する措置で合意する見通し。EU筋がロイターに明らかにした。

EUのボレル外交安全保障上級代表(外相に相当)は、ロシア産石炭禁輸を含む対ロシア追加制裁が7日もしくは8日に合意される見通しとした。

ブリンケン長官は、欧州諸国がロシア産エネルギーへの依存低減にコミットしていると評価しつつも、急速な変化は容易でないという認識も示した。

さらに、ウクライナ首都キーウ(キエフ)近郊ブチャで民間人とみられる遺体が多数発見されたことがロシアとウクライナの和平交渉に大きな影響を及ぼすとは考えておらず、ロシア政府が和平の実現に価値があると考えるかどうかが重要とし、「プーチン大統領の決定次第だ」とした。

また、主要7カ国(G7)の外相は共同声明で、ロシア軍によるウクライナでの残虐行為を非難し、関与した者は責任を問われると表明した。