[ワシントン 13日 ロイター] – 米労働省が13日発表した3月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比1.4%上昇した。2月の0.9%上昇から加速し、改訂があった2009年12月以来12年超ぶりの大幅な伸びとなった。モノやサービスへの旺盛な需要が要因で、持続的な高インフレを示唆。米連邦準備理事会(FRB)が積極的な金融引き締めを余儀なくされる可能性がある。
前年同月比ベースでも11.2%上昇。前年同月比の集計が始まった2010年11月以降で最大の伸びとなった。2月は10.3%上昇していた。
ロイターがまとめた3月のエコノミスト予想は前月比1.1%上昇、前年同期比10.6%上昇だった。
FHNフィナンシャルのシニアエコノミスト、ウィル・コンパーノール氏は、PPIの「広範囲にわたる上昇は前日の消費者物価指数(CPI)の内容を補強しており、FRBは今後数カ月間で積極的な引き締め路線を維持することになる」と指摘。「FRBが物価安定という目標を首尾よく達成する上で、サプライチェーン(供給網)に関する問題の解消、特にモノの生産に関する問題の解消がディスインフレの重要な要因になる」とした。
3月はモノが前月比2.3%上昇と2月の伸びと一致。エネルギー価格が5.7%上昇し、PPIの伸びの2分の1以上を占めた。2月は7.5%上昇していた。牛肉などの価格は7.3%下落したものの、食品価格は2.4%上昇。鉄鋼くずの価格も上昇したが、冷延薄板などは下落した。
サービスは0.9%上昇。2月は0.3%上昇していた。卸売業者や小売業者が受け取るマージン(利ざや)の尺度である最終需要貿易サービスが1.2%上昇し、サービスの伸びの40%以上を占めた。運輸・倉庫業のほか、ホテルなどの宿泊費、航空運賃、入院患者の治療費、建材費なども上昇。一方、証券仲介・ディーリング・投資助言の費用が5.4%減少したほか、ポートフォリオマネジメント手数料も減少した。
また、ロシアのウクライナ侵攻により、原油や小麦、ヒマワリ油など商品価格が上昇した。
変動が大きい食品とエネルギー、貿易サービス部門を除いたコア指数は前月比0.9%上昇。前年同月比は7.0%上がった。2月は前月より0.2%上がり、前年同月比は6.7%上昇だった。
2カ月目に入ったロシアとウクライナの戦争と、新型コロナウイルスの感染再拡大を抑えるための中国でのロックダウン(都市封鎖)によって、サプライチェーン(供給網)がさらに混乱し、一部の商品不足が悪化すると見られている。
米政府が12日発表した3月の消費者物価指数の前月比上昇率は2005年9月以来、16年半ぶりの大きさとなった。ガソリン価格の上昇が押し上げた。
インフレはどのデータも米連邦準備理事会(FRB)が目標とする2%を大幅に超えているが、ピークに達したという慎重な楽観論がある。
FRBは3月、政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き上げ、3年超ぶりの利上げを始めた。FRBが今月6日に公表した連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨は、今後の大きな利上げの下地を作るものとなったように映った。FRBは保有資産縮小を近く始めると予想されている。