[14日 ロイター] – 米電気自動車大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は米ツイッターを現金430億ドルで買収することを提案した。短文投稿サイトのツイッターが「言論の自由」のためのプラットフォームになるには、非公開化が必要との見方を示した。
マスク氏は13日にツイッターの取締役会に書簡を送り、買収案を提示。14日に規制当局への資料で情報を開示した。
全株式を1株当たり54.20ドルで取得するもので、マスク氏の大量保有が明らかになる前日である1日の終値に38%上乗せした。ツイッターは14日の取引を1.68%安で終了した。
マスク氏はカナダのバンクーバーで開かれたイベントで、「言論の自由のための包摂的な場が存在することが非常に重要だ」との考えを表明。
イベント後、「この提案を株主投票にかけないという行為は全く正当化できない」とツイッターに投稿し、取締役会に諮らずに株主投票に直接かける形で敵対的買収を仕掛ける可能性を示唆した。
一方、ツイッターのパラグ・アグラワルCEOは同日、従業員全員参加の会議で、マスク氏の買収提案で同社は弱みを握られたわけではないと強調し、業務に引き続き集中するよう求めた。
関係筋によると、同社はマスク氏が15日にも買収価格を引き上げる場合に備え、ポイズンピル(毒薬条項)を準備しているという。
サウジアラビアのアルワリード・ビン・タラル王子はツイッターへの投稿で自身を「ツイッターの最大かつ長期的な株主」の1人だと説明した上で、マスク氏の提案は同社を過小評価しているため、受け入れを拒否すると表明した。
マスク氏はツイッターへの書簡で「この提案は最善かつ最終的なもので、受け入れられない場合は、株主としての立場を再考する必要がある」とした。
マスク氏は、ツイッター株9%強を保有していると公表したのに続き、同社の取締役に指名される運びとなったが、前週末に辞退していた。取締役は株式保有率が15%未満に制限されるため、辞退は買収提案の前触れとアナリストはみていた。