TOPSHOT – A man walks holding bags near a burning warehouse hit by a Russian shell in the suburbs of Kyiv on March 24, 2022.Photographer: FADEL SENNA/AFP

円相場はニューヨーク時間に下げ、一時は1ドル=129円に迫りました。130円になれば、1ドルは日本全国の自動販売機で売られている標準的な缶コーヒーの値段に相当します。鈴木俊一財務相に「デメリットをもたらす面が強い」と言わせた急速な円安は、海外から日本を訪れる人には自販機よりむしろ、デパートや家電量販店で「爆買い」に興じる好機となるはずです。一方、ソシエテ・ジェネラルのストラテジスト、キット・ジャックス氏は「円安が(日本の)競争力回復を助けることは可能だが、それには時間がかかる」と指摘。新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるための水際対策は依然、観光目的の外国人に国境を閉ざしているため、爆買いはまだ先の話のようです。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

経済成長とインフレ

国際通貨基金(IMF)は2022年の世界経済成長率見通しを大幅に下方修正した。インフレ予想は上方修正。ロシアのウクライナ侵攻と新型コロナウイルス感染拡大による中国のロックダウン(都市封鎖)を受けて変更した。世界経済見通し(WEO)によると、今年の成長率は3.6%の見込み。ウクライナ侵攻前の1月時点では4.4%と予想されており、新型コロナ禍初期以来の大幅な引き下げとなる。21年の成長率は6.1%だった。今年のインフレ率は先進国・地域で5.7%、新興・途上国では8.7%と予想。1月予想から大きく引き上げた。

新戦略

野村ホールディングスは英国のインフレに関連する取引で痛手を被ったと、事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。同社は2021年の早い時期に、ポンド建てのインフレ関連取引業務を拡大しようとしたが、英消費者物価の急激な動きに不意を突かれ、昨年に約3000万ドル(現在の為替レートで約38億6000万円)を失ったという。野村はユーロ建てのインフレ取引事業では昨年に過去最大の収入を得たと、関係者の1人が述べた。

3%の節目

米国債利回りは19日に全ての年限で上昇し、特に年限が短めの国債で伸びが大きくなった。30年債利回りは3年ぶりに一時3%を上回った。ウクライナでの戦争やサプライチェーン混乱の長期化でインフレ圧力は一段と高まり、米金融当局による政策引き締め見通しが強まっている。短期金融市場は来月の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合で約0.5ポイントの利上げが行われるとの見方を既に織り込んでいるが、セントルイス連銀のブラード総裁が18日に0.75ポイント利上げの可能性も排除しない考えを示したことがあらためて売り材料視された。前回0.75ポイントの利上げが行われたのは1994年。

富豪の冬

プーチン大統領はロシア企業に外国株式市場での上場廃止を義務付ける法改正に署名した。2014年のクリミア併合以来、国内企業には外国株式市場から引き揚げるよう促していたが、強制的な手続きに踏み切った。ロシア・トップの富豪、ウラジーミル・ポターニン氏らは事業の保有構造の変更を迫られる可能性がある。富豪らは保有企業をニューヨークやロンドン、フランクフルトなどの市場に上場させ、外貨で配当金を受け取っている。オトクルィチエ・ブローカーの調査責任者、アントン・ザトロキン氏は「30年かかって作り上げたものが破壊され、こうした人々は直接的・間接的な打撃を受ける」と述べた。

選挙シーズン

米中間選挙の鍵を握ると言われるペンシルベニア州の上院予備選を前に、トランプ前大統領のアジェンダを引き継ぐ共和党候補者にゴールドマン・サックス・グループの幹部からの寄付が相次いでいる。「米国ファーストの保守派」を自負するデービッド・マコーミック氏に、個人としての上限額で支援したゴールドマンの幹部は60人を超えた。同氏は世界最大のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエーツの元最高経営責任者(CEO)。妻のディナ・パウエル・マコーミック氏はゴールドマンのパートナーでもある。マコーミック候補の支持者には、ゴールドマンのデービッド・ソロモンCEOやジョン・ウォルドロン社長、投資銀行部門の共同責任者ダン・ディーズ氏が含まれる

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