[ワシントン 20日 ロイター] – 米リアルター協会(NAR)が20日発表した3月の米中古住宅販売戸数(季節調整済み)は年率換算で前月比2.7%減の577万戸となり、2020年6月以来の低水準となった。市場予想より大きな減少となった。減少は2カ月連続だった。
供給がいくらか改善されたにもかかわらず住宅価格が過去最高となり、住宅ローン金利の上昇を背景にさらに減少する可能性がある。
今回のデータは、30年固定金利の住宅ローンが4%を下回っていた2、3カ月前に締結された契約の大部分を反映している。
2月分は前回発表の602万戸から593万戸に大幅に下方改訂された。
ネーションワイドのシニアエコノミスト、ベン・エアーズ氏は「住宅価格と住宅ローン金利の上昇によって一部の購入者が市場から締め出されているため、過去2年間の力強い需要が後退している」と述べた。
ロイターがまとめたエコノミスト予想は580万戸。販売戸数は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前の水準に戻りつつある。地域別では、北東部や南部、中西部で減少し、西部は横ばいだった。
中古住宅販売は、米住宅販売の大部分を占める。3月の前年同月比は4.5%減った。
米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)のデータによると、4月14日までの1週間の30年固定住宅ローン金利は平均5.0%と、2011年2月以来の高水準となった。前週は4.72%だった。
米連邦準備理事会(FRB)は3月に政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き上げ、3年超ぶりの利上げを開始した。エコノミストは、FRBが来月に50bp利上げし、保有資産の縮小を近く始めると予想している。
住宅市場は、金利の影響を最も受けやすい業界。しかし、エコノミストは在庫がまだ少ないため、借り入れコストの上昇が需要に与える影響は小幅にとどまるとみている。
19日発表された政府統計によると、3月の一戸建て住宅の着工件数と建設許可件数は減少したが、ともに高水準を維持した。建設中の一戸建て住宅件数は06年11月以来の高水準だった。
米国人の多くにとって、住宅は手が届きにくくなっている。NARによると、3月の中古住宅価格(中央値)は前年同月比15%上昇の37万5300ドルと過去最高。販売は引き続き高価格帯に集中している。
3月末時点の中古住宅の在庫は95万戸と、前月比11.8%増。前年同月比は9.5%減少した。
3月の販売ペースに基づく在庫の消化期間は2.0カ月。1年前の2.1カ月から短縮した。健全な需給バランスは6─7カ月とされている。
今年3月の初回購入者の割合は30%となり、前月の29%から上昇。1年前の32%からは低下した。
今年3月の現金のみの売買の割合は28%と、14年7月以来の高水準。2月の25%、21年3月の23%からそれぞれ上昇した。