[キーウ(キエフ) 6日 ロイター] – ウクライナは6日、南東部マリウポリ市のアゾフスターリ製鉄所から民間人50人が避難したと発表した。ただ、マリウポリ市当局は、ロシア軍が製鉄所から民間人を避難させようとする車両に向けて発砲したとし、停戦合意に違反していると非難した。

ウクライナ大統領府のアレストビッチ顧問によると、ロシア軍はプーチン大統領への贈り物として、第2次世界大戦の対ナチス・ドイツ勝利を祝う5月9日の戦勝記念日までにアゾフスターリ製鉄所内の部隊を一掃し掌握しようとしているという。

アゾフスターリ製鉄所に避難していた数百人の民間人の一部は国連の仲介で先週末から避難を開始。ただ、今週に入り新たな戦闘が発生したため避難は中断された。

ウクライナのイリナ・ヴェレシュチュク副首相は6日午後、50人の女性、子ども、高齢者が製鉄所から避難したと明かした。避難は7日も継続される見込みだが、ロシア軍が停戦合意に違反しているため、避難に時間がかかっているという。

ロシア軍は避難者数を確認した上で「アゾフスターリでの人道的活動は5月7日に継続される」と発表した。

マリウポリ市当局のオンライン投稿によると、アゾフスターリ製鉄所から避難する民間人の方向に向かって移動中だった車両をロシア軍が対戦車誘導弾で攻撃。兵士1人が死亡、6人が負傷したという。

ロシアは現時点でコメントしていない。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、マリウポリの封鎖は拷問だとし、ロシア軍が民間人や軍隊を殺害すれば、ウクライナ政府はもはやロシア政府と和平交渉を行うことができないと述べた。

一方、ヴェレシュチュク副首相は6日、ロシアが捕虜交換で28人の軍人を含む41人を引き渡したと述べた。

こうした中、米国家安全保障会議(NSC)の報道官は6日、バイデン米大統領ら主要7カ国(G7)首脳が8日にオンライン会議を開催し、ゼレンスキー大統領と協議すると発表。

国連安全保障理事会も6日、ロシアによるウクライナ侵攻後で初めてとなる声明を発表し、「ウクライナにおける平和と安全の維持を巡る深い懸念」を表明した。