ウクライナ侵攻を巡る欧州の制裁に対する報復としてロシアがドイツ向け天然ガス供給を削減し、欧州のガス指標価格は一時22%上昇した。制裁で多くの製油業者がロシア産石油を避けている中でも、ロシアの石油収入は今年50%増加し、1カ月当たり約200億ドル(約2兆5700億円)を国庫にもたらしている。

  フィンランド政府首脳は北大西洋条約機構(NATO)加盟に支持を表明した。ストルテンベルグNATO事務総長は、同国が正式に加盟を決定するなら「加盟プロセスは円滑かつ速やかに行われるだろう」と語った。

  ウクライナは南部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所内にいる重傷を負った兵士の避難について、ロシアと交渉している。

  ウクライナ情勢を巡る最近の主な動きは以下の通り。

ウクライナ、アゾフスターリ製鉄所から38人の兵士避難を目指す

  ウクライナは、南部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所内にいる重傷を負った兵士を避難させる代わり、ロシア軍兵士の捕虜を引き渡す「非常に難しい交渉」をロシアと進めているとベレシチューク副首相が明らかにした。「現時点で話し合っているのは38人の重傷兵についてだ。着実に取り組んでいる。この重傷兵38人の交換が済めば、さらに次に進む」と語った。

ロシア、ドイツ向けガス供給の3%を削減

  ロシアがドイツへの天然ガス供給を削減した。ウクライナでの戦争を巡り欧州連合(EU)が科した制裁への報復で、ドイツはロシアがエネルギー輸出を「武器」として利用していると非難した。ハーベック独副首相兼経済相はこの供給削減がドイツのロシア産ガス輸入量の約3%に相当すると説明した。

ロシアがドイツ向けガス供給削減、「武器」に利用と独経済相非難

ロシア産ガスへの支払い、立場変わっていない-欧州委

  ロシア政府系天然ガス企業ガスプロムが提案した決済方法について、欧州委員会は従来の立場を「断固として維持する」と、マクフィー報道官がブリュッセルでの記者会見で語った。

  制裁対象となっているロシア中央銀行が関わる決済方法であれば、「制裁違反になる」と同報道官は強調。制裁に抵触せずガス代の支払いを継続することが可能だとガスプロムが欧州の顧客を安心させるために送付した書簡を、欧州委は「極めて注意深く」分析していると説明した。ガイドラインの更新を加盟国と協議しているが、更新の「時間的なめどを示すことはできない」と述べた。

フィンランドのNATO加盟プロセス、「円滑かつ速やかに」-事務総長

  フィンランドがNATOへの加盟申請を決定する場合、「加盟プロセスは円滑かつ速やかに進められるだろう」とストルテンベルグ事務総長は述べた。

ルクオイル、英シェルのロシア下流事業資産を買収へ

  ロシア2位の石油会社ルクオイルは、英シェルのロシアでの小売・潤滑油事業を買収する。ロシアのウクライナ侵攻を受けて、シェルはロシア市場からの撤退を進めている。

ルクオイル、英シェルからロシア国内のガソリンスタンド買収へ

ロシア石油収入、今年50%増-IEA

  ウクライナ侵攻後の制裁で多くの製油業者がロシア産石油を敬遠する中でも、ロシアの石油収入は今年50%増加したと、国際エネルギー機関(IEA)が月次の石油市場リポートで指摘した。

  この報告によると、ロシアは今年に入って原油と石油製品の合計で月ごとに約200億ドルの収入を上げている。欧州連合(EU)はロシア産石油の禁輸に近づいているが、まだ全加盟国からの同意は得られていない。「合意されれば、すでに進行中の貿易の流れの変化が加速し、ロシアの石油会社はさらなる油井の閉鎖を迫られるだろう」とIEAは予測した。

ルーブル口座開設のガス買い手、欧州で増加

  欧州でさらに10社のガス購入企業がガスプロムバンクに口座を開設。プーチン大統領の要求に従ってロシア産ガスの支払いをルーブルで行う準備を進めている企業数は2倍に増えた。事情に詳しい関係者によると、口座開設を済ませた欧州企業は計20社となり、さらに14社が開設に必要な書類を要求している。関係者は具体的な企業名を明かすことは控えた。

フィンランド首脳、NATO加盟を支持

  フィンランドのニーニスト大統領とマリン首相は12日、NATO加盟を支持すると声明で発表した。「フィンランドは遅滞なくNATO加盟を申請する必要がある」と表明した。

フィンランド大統領と首相、NATO加盟を支持

ドイツはロシアからのガス禁輸乗り切れる-経済相

  ドイツのハーベック経済相は独経済誌ウィルトシャフツウォッヘとのインタビューで、ロシアからの天然ガス供給が停止された場合でも、ドイツが耐えられるかどうかは「幾つかの前提条件が満たされる必要があるものの」、実行可能だと述べた。

  同相は在庫確保や液化天然ガス(LNG)基地の拡充、消費削減が条件だと説明した。

ロシアは世界秩序への最も直接的な脅威-欧州委員長

  欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会のフォンデアライエン委員長は12日、東京で岸田文雄首相と会談し、ロシアのウクライナ侵攻について意見交換した。

  同委員長は記者会見で、ロシアは「現在、世界秩序に対する最も直接的な脅威だ」と語った。

米国、ウクライナ供与に向け大型「自爆ドローン」調達を検討

  米国防総省はウクライナへの供与に向け、装甲車両などに突撃して破壊する自爆型ドローン「スイッチブレード」の新大型モデル10機調達を目指し、米エアロバイロンメントと交渉している。同省のマクスウェル報道官が発表資料で明らかにした。

  スイッチブレードの新型「600」は40分強飛行して24マイル(約39キロメートル)余り先の標的を攻撃できる。

米エアロバイロンメント社の「スイッチブレード600」Source: AeroVironment. Inc/Businesswire/AP Photo

欧州企業、ロシア産ガスのルーブル払いは可能-イタリア首相

  欧州企業はロシアへのガス代を制裁に違反することなくルーブルで支払うことが可能だと、イタリアのドラギ首相が語った。欧州連合(EU)の指針に反するような発言だ。ドラギ氏は現時点で何が制裁違反で、ルーブルでの支払いが該当するのか正式な公布がないと主張した。

原題:Ukraine Latest: Russia Sends Warning to Europe With Gas Curb(抜粋)、
European Gas Surges as Germany Clashes With Russia Over Supply(抜粋)