[ニューヨーク 12日 ロイター] – ニューヨーク外為市場ではドルが一時20年ぶりの高値を更新した。インフレ抑制に向けた中銀の積極的な対応が世界の経済成長を鈍化させるという懸念が根強く、安全資産としてのドルの投資妙味が高まった。
朝方発表された米指標では、5月7日までの1週間の新規失業保険申請件数が予想に反し増加し、2月中旬以来約3カ月ぶりの高水準となった。4月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前年同月比11.0%上昇と、エネルギー高が緩和したことで、伸びは前月から鈍化したものの、予想の10.7%は上回った。前月比も0.5%上昇と、前月の1.6%上昇から減速した。
シルバー・ゴールド・ブルのエリック・ブレガー氏は「PPIはまちまちから予想を幾分下回る内容となったものの、全体的には依然懸念される要素が多い。米S&P総合500がさらに売りにさらされれば、ドルへの追い風となる」と述べた。
終盤の取引で、主要通貨に対するドル指数は0.798%高の104.840。一時、2002年12月12日以来の高値となる104.92を付けた。
ユーロ/ドルは1.38%安の1.0366ドル。一時、17年1月3日以来の安値となる1.0352ドルに沈んだ。
CMEのフェドウオッチによると、金融市場では米連邦準備理事会(FRB)が6月の会合で50ベーシスポイント(bp)の追加利上げを実施するという観測が完全に織り込まれている。
欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのマクルーフ・アイルランド中銀総裁は12日、FRBと同じペースとは限らないが、ECBはインフレ対応に向け行動すべきとの見方を示した。
FRBが景気後退を招かずにインフレを抑制する能力やロシアのウクライナ侵攻による影響、新型コロナ再拡大による中国の需要減退などを巡る懸念が強まる中、ドルなど安全資産への逃避買いが膨らんでいる。
前出のシルバー・ゴールド・ブルのブレガー氏は「FRBは信認を巡る大きな課題に直面している」と述べた。
こうした中、イエレン米財務長官は12日、力強い労働市場などを挙げ、FRBがリセッション(景気後退)を引き起こすことなくインフレを引き下げることができるとの考えを示した。
別の安全逃避先とされる円も買われ、対ドルで1.47%高の128.08円。
ポンド/ドルは0.63%安の1.2173ドル。
暗号資産(仮想通貨)のビットコインは0.54%安の2万8250.01ドル。イーサは6.48%安の1903.73ドル。
ドル/円 NY終値 128.32/128.35
始値 128.67
高値 128.74
安値 127.53
ユーロ/ドル NY終値 1.0379/1.0381
始値 1.0435
高値 1.0443
安値 1.0355