ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる14日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

国外避難は611万人に UNHCR

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ロシア軍の侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数は、13日の時点でおよそ611万人にのぼっています。

主な避難先はポーランドがおよそ331万人、ルーマニアがおよそ90万人、ハンガリーがおよそ59万人、モルドバがおよそ46万人などとなっています。

ロシアに避難した人はおよそ80万人となっています。

“ウクライナ側 東部 ドネツ川でロシア軍の進軍阻む”

アメリカ国防総省の高官はウクライナ側は東部のドネツ川を渡っていたロシア軍の部隊に攻撃を仕掛け、進軍を阻んだとしています。

ウクライナ軍が12日に公開した、ドネツ川沿いの上空から撮影したとする映像では、焼け焦げたようにみえる軍用車両や壊れた橋、それに白や黒の煙があたり一帯から立ち上っている様子が確認できます。

ウクライナ軍当局は12日、SNSへの投稿で「ドネツ川を越えようとしたロシア軍を破壊した。われわれは勝利へと歩み続ける」としています。

ウクライナ裁判所 国際刑事裁判所とは別に審理

ウクライナで行われた疑いのある戦争犯罪をめぐっては、首都キーウ近郊などで多くの市民が殺害されているのが見つかったのを受けてICC=国際刑事裁判所が、主任検察官を派遣するなどして捜査を始めています。

一方で、戦争犯罪についても、犯罪が起きた国の裁判所が審理を行うのが基本で、ウクライナの検察当局は、刑事手続きに時間がかかるとみられる国際刑事裁判所とは別に、ロシア軍兵士などによる犯罪が疑われるケースについて捜査に乗り出していました。
また、ウクライナの検察当局は国際刑事裁判所の捜査についても協力するとしています。

ウクライナ検事総長「正義取り戻す長く複雑な過程の始まり」

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻後、初めて戦争犯罪を裁く裁判が13日、首都キーウの裁判所で始まったことについて、ウクライナのベネディクトワ検事総長は、みずからのツイッターに「これは加害者を裁判にかけ、被害者に正義を取り戻す長く複雑な過程の始まりにすぎない。われわれはウクライナの人々に対するすべての犯罪を捜査する」と書き込みました。

そのうえでベネディクトワ検事総長は「いま捜査中の戦争犯罪の事件は1万1000件以上あり、すでに40人の容疑者がいる。近い将来ほかの事件も裁判所に移され、容疑者が裁判官の前に姿を見せると確信している」として、今後もロシアによる戦争犯罪を追及する姿勢を示しました。

またAP通信によりますとベネディクトワ検事総長は、今後予定される裁判では、民間施設の爆撃や民間人の殺害、それに性的暴行や略奪の罪が審理されるという見方を示したということです。

ゼレンスキー大統領「領土取り返せるよう あらゆることを」

ウクライナのゼレンスキー大統領は13日、SNS上で動画を公開し「われわれは自分たちの領土を速やかに取り返せるよう、あらゆることをしている」と述べたうえで、一時、ロシア軍に占拠された地域を奪還し、電気や水道などのインフラの復旧を進めていると強調しました。
また東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所を拠点にロシア軍と戦闘を続けているウクライナの部隊について「現在、重傷者や衛生兵を退避させるための非常に困難な協議が続いている」と述べました。

ジョージア 分離独立主張の南オセチアトップ 住民投票実施方針

ロシアの隣国ジョージアで、多くのロシア系住民が暮らし、ジョージアからの分離独立を主張する南オセチアのトップは、ことし7月17日に、ロシアへの編入を問う住民投票を実施する方針を13日、明らかにしました。
南オセチアのトップのビビロフ氏は「ロシアへの再統合は、人々の歴史的な願望だ」とする政令に署名し、住民投票では、ロシアへの編入の賛否を問うとしています。ただ、ビビロフ氏は今月選挙で敗れ、まもなくトップの地位を退くため、住民投票が実際に行われるかどうかは不透明です。
ジョージア政府はこれまで、南オセチアの住民投票について「違法で、法的拘束力はない」と非難してきました。

ロシア政府は、南オセチアの方針について今のところ、反応を示していません。

ロシア軍が最大規模の石油精製施設攻撃 ウクライナ公共放送

ウクライナの公共放送は、動画投稿サイトで現地の状況を国内外に英語で発信しています。
13日に公開した動画の撮影場所は中部ポルタワ州で、12日から13日にかけて、ロシア軍がウクライナで最大規模の石油精製施設を攻撃し、火災がおきたと伝えています。この攻撃によるけが人はいないということです。

また、ロイター通信は、東部ハルキウ州のデルハチで13日、人道支援の拠点となっていた施設が攻撃を受けたと伝えました。
現地からの映像では、消防隊員が消火活動にあたる様子や攻撃を受けた建物の中でトイレットペーパ-などの支援物資が散乱している様子が映っています。
地元の市長は「ここでは、人々に食料などを配っていた。こうした施設を攻撃するのは人道危機を引き起こそうとするねらいがあるからだ」とロシア軍を非難しました。

ウクライナ東部で激しい砲撃 空爆も 米国防総省

アメリカ国防総省の高官は13日、ウクライナ東部のハルキウ州のイジュームとドネツク州のスラビャンスクの間で、ウクライナ軍とロシア軍による激しい砲撃が続いているという認識を示しました。

この高官によりますと、ロシア軍は、東部ドネツク州の中心都市の1つスラビャンスクに地上部隊を進軍させようと試み、都市を標的に集中的な空爆を行っているということです。

これに対してウクライナ側は抵抗し、砲撃部隊が、東部のドネツ川をわたっていたロシア軍の部隊に攻撃を仕掛け、進軍を阻んだということです。

この高官は「ロシア軍は、突破口を開けずにいる」と述べ、大きな前進はできていないとの見方を示しました。

米バイデン大統領 フィンランドなどのNATO加盟支持

アメリカのバイデン大統領はNATO加盟を目指す動きを見せているフィンランドのニーニスト大統領やスウェーデンのアンデション首相と13日、電話で会談し、NATOへの加盟の申請を支持すると伝えました。

ホワイトハウスの発表によりますとバイデン大統領は両首脳に対し、NATOへの加盟は広く開かれているという原則とともに、両国がそれぞれの外交、安全保障について自身で決定することを支持すると強調したということです。

一方、NATO加盟国の1つであるトルコがフィンランドとスウェーデンの加盟に否定的な姿勢を示していることについて、ホワイトハウスのサキ報道官は記者会見で「トルコ政府の真意を確認中だ。NATO加盟国のリーダーの多くから支持の表明があったが、トルコとは引き続き協議していく」と述べました。

経済制裁でロシアの物価上昇続く

ウクライナへの軍事侵攻をめぐり各国から厳しい経済制裁が科されているロシアでは、物価の上昇が続いています。

ロシアの統計庁が13日発表した先月の消費者物価指数は前の年の同じ月と比べて17.83%の上昇となりました。

これについてロシアのインターファクス通信は「2002年1月以降、最も高い水準だ」と伝えています。

分野別で見ると、前年の同じ時期に比べて、食品類は20.48%、バスなど交通機関の運賃は12.04%、電気製品は28.48%上昇していて、市民生活への影響が徐々に広がっています。

ロシア中央銀行は先月、今後の見通しについて「インフレ率の上昇はピークを秋に迎え、年末までには18%~23%の範囲となるだろう」と述べ、今後さらにインフレが加速すると予測しています。

キーウの路面電車で線路の復旧工事始まる

ウクライナで、破壊されたインフラの復旧が課題となる中、首都キーウでは、路面電車の線路の復旧工事が始まり、日常生活を取り戻すための取り組みが少しずつ進んでいます。

侵攻当初、首都キーウの制圧を目指したロシア軍が、先月上旬に首都周辺から撤退するまで、キーウ近郊は激しい攻撃にさらされ、交通インフラも大きな被害を受けました。市民生活に欠かせない路面電車も、21の路線のうち4つの路線で線路が破壊されるなどして一部が運休していましたが、今月に入って復旧に向けた工事が始まりました。

このうちキーウ北部の住宅地を通る路線では、作業員たちが、破壊されたレールと枕木を新しいものに交換し、レールの幅が均一かどうか、計測していました。

作業現場の周辺では、砲弾の破片が街路樹に突き刺さっていたり、レールの側面に、砲撃による傷が残っていたりして、民間のインフラに対しても容赦なく攻撃が行われた実態がうかがえます。

路面電車を運行する、キーウ市の交通部門の広報担当者、オレフ・グリスチャクさんは、今月中には、すべての区間の復旧を目指しているとしたうえで「多くの市民が通勤などで路面電車を利用している。日常生活を取り戻すため、工事を急ぐ」と話していました。

トルコ エルドアン大統領 NATO加盟めぐりロシアに配慮する姿勢

フィンランドとスウェーデンがNATO加盟を目指す動きについて、13日、NATO加盟国のトルコのエルドアン大統領は「われわれは肯定的な考えではない。現時点で前向きにとらえることは不可能だ」と、否定的な見方を示しました。

フィンランドやスウェーデンがNATOに加盟するには、加盟国の全会一致の合意が必要になることから、ロシアとウクライナの間に立って仲介を続けるエルドアン大統領としては、フィンランドなどのNATO加盟に否定的な立場を表明することで、ロシアに配慮する姿勢を示した形です。

NATO ポーランドで合同軍事演習

ウクライナの隣国ポーランドでは、NATO=北大西洋条約機構の加盟国などが参加する合同軍事演習が行われています。

今月始まった合同軍事演習には、NATOを主導するアメリカのほか、加盟を検討しているスウェーデンなど20か国以上からおよそ7000人の兵士が参加しています。

ウクライナ国境からおよそ150キロ離れたポーランド東部の演習場では13日、上空を戦闘機が警戒するなか、各国の軍用車両が川に架けられた仮設の橋を次々と渡る演習が行われました。また別の場所では、アメリカ軍とフランス軍、それにスウェーデン軍が共同で、戦車などを船に乗せて対岸へ運ぶ演習も行われました。

参加したスウェーデン軍の兵士は「われわれは国を守るためできるかぎりのことをする。今回の演習は、アメリカ軍がどのように共同作戦を行うかを知るうえでよい機会となった」と話していました。またアメリカ軍の兵士は「訓練で重要なことは共同運用の確認だ。タイヤの交換の違いなどを含め 多くのことを学べる」と話していました。

演習に参加したポーランド軍は、目的について、特定の国や情勢を受けたものではないとしていますが、アメリカ軍はポーランドへ売却するM1戦車を今回の演習に投入しており、有事の共同作戦を想定し、連携の強化を図るねらいがあるとみられます。

ウクライナ 少なくとも市民3573人死亡 241人は子ども

国連人権高等弁務官事務所は、ロシアによる軍事侵攻が始まったことし2月24日から今月12日までに、ウクライナで少なくとも3573人の市民が死亡したと発表しました。このうち241人は子どもだとしています。

地域別でみると、東部のドネツク州とルハンシク州で1919人、キーウ州や東部のハルキウ州、北部のチェルニヒウ州、南部のヘルソン州などで1654人の死亡が、それぞれ確認されているということです。

また、けがをした市民は3816人に上るとしています。

ただ国連人権高等弁務官事務所は、東部のマリウポリなど激しい攻撃を受けている地域での死傷者の数については、集計が遅れていたり、確認がまだ取れていなかったりしていて、実際は大きく上回るという見方を示しています。

軍事侵攻後初 キーウで戦争犯罪裁く裁判の初公判

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻後、初めてとなる、戦争犯罪を裁く裁判の初公判が13日、首都キーウの裁判所で開かれました。

ロシア軍の戦車部隊に所属するワディム・シシマリン軍曹(21)は、軍事侵攻が始まった直後の2月28日、ウクライナ北東部のスムイ州にある村で、自転車に乗った62歳の男性に発砲し、殺害した罪に問われています。

法廷に多くの報道陣が詰めかける中、出廷した軍曹は、裁判官に氏名や住所などをたずねられ、落ち着いた様子で淡々と答えていました。

ウクライナから国外避難 608万人

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ロシア軍の侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数は、12日の時点でおよそ608万人にのぼっています。

主な避難先はポーランドがおよそ329万人、ルーマニアがおよそ90万人、ハンガリーがおよそ58万人、モルドバがおよそ46万人などとなっています。

また、ロシアに避難した人はおよそ80万人となっています。

ウクライナ侵攻後初めて米ロの国防相が電話会談

アメリカ国防総省は13日、オースティン国防長官がロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まって以降、初めてロシアのショイグ国防相と電話で会談したと発表しました。

それによりますとオースティン長官は会談で、ウクライナでの即時停戦を要求するとともに、対話を維持することの重要性を強調したということです。

またロシア国防省も13日、電話会談はアメリカ側の提案で行われ、ウクライナ情勢を含む安全保障分野の差し迫った課題について議論したと発表しました。