ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる15日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)
フィンランド NATO加盟申請を正式表明
フィンランドのニーニスト大統領とマリン首相は15日、NATO=北大西洋条約機構への加盟を申請することを正式に明らかにしました。フィンランド政府は15日、NATO加盟についての報告書の案を公表し、ロシアによる軍事侵攻を受けて安全保障をめぐる環境は大きく変わったなどと、加盟の申請を決めた背景などについて説明しています。議会はこの報告書をもとに16日から審議を行いますが、賛成が多数を占めることは確実とみられます。⇒「フィンランド NATO加盟申請を正式表明」詳細記事はこちら
製鉄所で抵抗続ける兵士の妻たちが救出を訴える
ウクライナ東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所でロシア軍に抵抗を続けている兵士の妻や父親たちが、14日、首都キーウで会見を開き、けがを負った兵士らの救出を改めて訴えました。
このうち、アゾフ大隊の兵士の妻は「現地で起きていることは、もはや戦争ではなく虐殺だ。何百人というけが人がいる。手足をなくした人たちの手術のための麻酔薬もない。彼らを助けてほしい。捕虜になれば処刑されるという情報もあり、彼らは降伏することもできない」と述べ、負傷兵らの保護が必要だと訴えました。
また、ウクライナ海兵隊の兵士の妻は「プーチン大統領の経済的なパートナーである中国の習近平国家主席なら、彼と対話を行うことができる。トルコなど第3国に兵士を退避させることに向けた実りある対話を要請したい」と述べ、製鉄所からの退避に向け中国にも仲介してほしいと呼びかけました。
隣国ポーランド ウクライナへ戻る動きが加速か
ウクライナの隣国ポーランドでは、ウクライナへの出国者が入国者の数を上回るようになっていて、避難していた人たちが戦況の変化とともにウクライナへ戻る動きが加速しているとみられます。
国連のまとめによりますと、ロシアによる軍事侵攻がことし2月に始まって以降、今月13日の時点で、ウクライナから国外に避難した人の半数以上に当たる331万人が隣国ポーランドに避難しました。
一方、ポーランドの国境警備当局によりますと、今月10日からの5日間にウクライナからポーランドに入国した人はおよそ10万5000人だったのに対し、ウクライナに向けて出国した人はおよそ13万5000人に上ったということです。
ウクライナへの出国者が入国者の数を上回っている形で、専門家は、ロシア軍が首都キーウ周辺から撤退した3月下旬ごろからウクライナに戻る人たちが増えていると指摘しています。
“少なくとも子ども227人死亡” ウクライナ検察当局
ロシアの軍事侵攻で死傷した子どもの数について、ウクライナの検察当局は、14日の時点で少なくとも227人が死亡し、420人がけがをしたと発表しました。
死亡、またはけがをした子どもが最も多いのは東部ドネツク州で139人、次いで首都があるキーウ州で116人、東部ハルキウ州で99人、北部チェルニヒウ州で68人などとなっています。
また、爆撃や砲撃による被害を受けた学校などの教育施設は1748か所に上り、このうち144か所は完全に破壊されたということです。
ゼレンスキー大統領「ドンバスの状況 依然として厳しい」
ウクライナのゼレンスキー大統領は14日、SNS上で動画を公開し「ドンバスの状況は依然として厳しい。ロシア軍は全面的な侵攻から80日がたつ中、少なくともいくつかの勝利を示そうとしている」と述べ、東部2州での戦況は依然、厳しいという見方を示しました。
そのうえで「ウクライナの防衛を続けている者たちは、わが国の土地や海から占領者を立ち去らせるため、ハルキウ州で起きているのと同じことを着実にもたらすだろう」と述べ、一部の集落をロシア軍から奪還したとする東部ハルキウ州を引き合いに出し、今後も反撃を続ける考えを示しました。
親ロシア派が“編入要請”のヘルソン 住民は反発
ロシアが掌握したと主張するウクライナ南部のヘルソンでは、親ロシア派勢力がロシアにヘルソン州を編入するよう要請するとして、住民投票を経ずに編入を進めるための法的な枠組みを年内に整える考えを明らかにしています。
こうした中、ヘルソンにとどまっている50代の住民の男性が14日、NHKの取材に応じ、ロシアへの編入に向けた動きについて「私たちは今の親ロシア派の政治家や侵略した人たちを認めていない。親ロシア派の政治家には会っていないし見たこともない」と話しました。
そのうえで、「編入は認めない。ひどい国には絶対に編入されないし、ロシアに対して友好的になりたくもない。われわれは降伏しないし、ロシア側に行くことはない」と憤りをあらわにしました。
そして、「ヘルソンでは住民投票を行う予定だったが、抗議デモに人が集まりできなかった。ロシアの戦勝記念日の5月9日にはパレードが行われたがヘルソンの住民は行かなかった」と話し、ロシアによる支配を既成事実化する動きに強く反発しました。
また、「ロシア軍は食料品を奪い、住民が抵抗すると殴ったり、殺害したりしている。検問所ではスマートフォンを調べていてウクライナ側を支持しているような内容があればスマートフォンを取り上げるか、持ち主を逮捕している。そのため、ヘルソン市内を歩くのはとても怖い」と話し、ロシア軍による住民への締めつけが一層強まっていると訴えました。
そして、「物資をわけあって互いに助け合っているがお金がなく苦しくなっている」と早急な支援を訴えました。