ロシアのプーチン大統領はスウェーデンとフィンランドの北大西洋条約機構(NATO)加盟申請について、「われわれは対応策を講じる」と表明した。ドイツのベーアボック外相は、数日以内に欧州連合(EU)がロシア産原油に対して制裁措置を講じるとの見通しを示した。

  EU諸国は2週間以上にわたり、原油に関する対ロ追加制裁の詳細を話し合っているが、ハンガリーがエネルギー供給を巡る保証を求めていることから協議は難航している。ベーアボック氏は16日、EU外相会合のために訪問したブリュッセルで記者団に対し、「数日以内に結論が出ると確信している」と述べた。

  EUは域内企業が対ロ制裁に違反することなくロシアからのエネルギー供給を受けられる方策について新たな指針も準備している。

ゼレンスキー大統領(左)と握手する米共和党のマコネル上院院内総務(キーウ、5月14日)Source: Ukrainian Presidential Press Office/AP Photo

  ウクライナ情勢を巡る最近の主な動きは以下の通り。

EU、対ロ制裁に抵触せずにロシア産ガスの購入は可能

  EUは域内のガス輸入業者が対ロ制裁に抵触せずにロシアにガス代を支払うことは可能との見解を示した。欧州委員会によれば企業は既存の契約に沿ってユーロかドルで支払いを行い、義務は履行されたとの考えを明確に発表する必要がある。

EU、ロシア産ガスの購入継続を容認-ルーブル支払いは認めず

スウェーデン政府、NATO加盟申請を正式決定

  スウェーデン政府はNATOへの加盟申請を正式に決定した。アンデション首相が16日に表明した。首相はストックホルムで記者会見を開き、同国のNATO担当大使が加盟意向のメッセージを「近く」伝えると説明した。

スウェーデン政府、NATO加盟申請を正式決定-首相が発表

ロシアの経常黒字が急拡大、対ロ制裁で輸入減

  今年1ー4月のロシアの経常黒字は958億ドルと、前年同期から3倍超拡大した。ロシア中央銀行が発表した。輸出向け原油・ガス価格が上昇した一方で、対ロ制裁で輸入が減ったことが背景。

プーチン大統領が警告、NATOが領域拡大なら対応講じる

  プーチン大統領はスウェーデン、フィンランド両国がNATOに加盟すること自体は脅威ではないと述べた上で「軍事インフラの領域拡大に伴い、われわれは対応策を講じる」と表明。両国のNATO加盟が「ロシアにもたらす脅威に基づき対応策の内容を決定する」と続けた。大統領は両国のNATO加盟について初めて公式に見解を示した。

仏ルノー、ロシア事業売却-アフトワズには持ち分買い戻しオプション

  フランスの自動車メーカー、ルノーは16日、同社の取締役会がルノー・ロシアの株式100%をモスクワ市の組織に、ロシアの合弁事業アフトワズの持ち分67.69%をロシア産業貿易省傘下の中央自動車エンジン科学研究所(NAMI)に売却することで合意したと資料で発表した。

仏ルノー、ロシア事業売却-アフトワズには持ち分買い戻しオプション 

原油相場が下げに転じる、中国統計で

  ニューヨーク原油先物はアジア時間16日の時間外取引で4営業日ぶりに反落。この日発表された中国統計で、新型コロナウイルス感染拡大に伴うロックダウン(都市封鎖)が先月の同国経済に打撃を与えたことが示唆された。

NY原油が反落、一時109ドル付近-中国経済、ロックダウンで打撃

ドイツ、EU制裁合意なしでもロシア産原油の輸入停止へ

  ドイツは欧州連合(EU)が次の一連の制裁で合意に至らない場合でも、ロシア産原油輸入を年末までに停止する計画だ。複数の政府当局者が明らかにした。

ドイツは年内のロシア産石油禁輸を計画、EU合意なしでも-当局者

NATO、フィンランドとスウェーデンの加盟を準備

  NATOが14-15日にベルリンで開催した外相会合では、加盟申請の計画を発表したフィンランドとスウェーデンへの支持が多くの国から表明された。ロシアのウクライナ侵攻を機に欧州の安全保障構造が劇的に変わることになる。

  実現には加盟30カ国の全会一致の承認が必要。NATO外相のほとんどが北欧2カ国の加盟への支持を表明したが、トルコのチャブシオール外相はフィンランドそして特にスウェーデンが、トルコ東部で活動するクルド人武装勢力と関係を持ってきたことを理由に難色を示した。

スウェーデン、トルコに外交団派遣へ

  スウェーデンは今週、トルコのアンカラに外交団を派遣する。エルドアン大統領がスウェーデンとフィンランドのNATO加盟を認めることに難色を表明していた。

  スウェーデンのリンデ外相は「われわれはこの状況の解消に関心がある」と説明。「双方が満足できる良い解決策を見つけようとすべきだと考える」と語り、加盟が承認されるまでのプロセスが簡単ではないことは承知しているとした。

ウクライナ支援法案は18日に上院可決の公算-マコネル氏

  米共和党のマコネル上院院内総務は、400億ドル規模のウクライナ支援法案が超党派の幅広い支持で18日に上院で可決されるとの見通しを明らかにした。共和党のポール議員が自身の案が盛り込まれない限り迅速な採決を拒否すると主張して譲らず、上院の採決が遅れていた。

  マコネル氏は訪問先のストックホルムで記者団に対し、米国はスウェーデンとフィンランドのNATO加盟を支持するべきだと述べるとともに、ロシアをテロ支援国に指定するようバイデン大統領に呼び掛けた。

  マコネル氏ら4人の共和党上院議員は14日にキーウ(キエフ)でウクライナのゼレンスキー大統領と会談。16日にはヘルシンキでフィンランド大統領と会談する。

スウェーデン与党、NATO加盟支持と表明

  スウェーデンの与党、社会民主労働党は15日、NATO加盟を支持すると表明した。同党は長年、いかなる軍事同盟への参加にも強く反対してきたが、2月のロシアによるウクライナ侵攻で姿勢を転換した。これによりスウェーデン議会ではNATO加盟支持が圧倒的多数になる。

トルコには北欧2カ国の加盟阻止の計画ない-NATO事務総長

  NATOのストルテンベルグ事務総長は、フィンランドとスウェーデンによる「加盟を阻止する意図はないことをトルコが明確にした」と明らかにした。ベルリンでの2日間のNATO外相会合後に語った。

  ストルテンベルグ氏は、加盟プロセスに遅れが生じることなくトルコの懸念に対処できると自信を示し、迅速なプロセスが引き続き見込まれるとした。

独外相、スウェーデンとフィンランド両国のNATO加盟は迅速に進む可能性

  ベーアボック独外相はベルリンで記者団に対し、スウェーデンとフィンランドについて、両国が予想された通り申請を推し進める意向を固めれば、「極めて迅速に」NATO加盟が可能だろうとの見解を明らかにした。

ロシアによるドンバス攻撃、勢い失う-英国防省

  ロシアはこの1カ月、ドンバスで掌握地域の大幅な拡大は達成できていないと、英国防省が最新の報告で指摘した。また「ロシアは現時点で、2月に投入した地上戦闘兵力の3分の1を失っているもようだ」との分析を示した。

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Russian forces are increasingly constrained by degraded enabling capabilities, continued low morale and reduced combat effectiveness. Many of these capabilities cannot be quickly replaced or reconstituted, and are likely to continue to hinder Russian operations in Ukraine.— Ministry of Defence (@DefenceHQ) May 15, 2022

原題:Ukraine Latest: Putin Warns NATO Aspirants as Oil Sanctions Near(抜粋)