高級すし店などのメニューに書かれた「時価」の2文字。会計でのサプライズを恐れて敬遠する人もいるのではないでしょうか。米ミシシッピ州ジャクソンのレストランでは庶民の味方チキンウイングが、あまりにも急激な原価高騰のために”market price(時価)”になりました。先週発表された4月の米消費者物価指数(CPI)統計では食品が前年比9.4%上昇し、特に鶏肉の値上がり率は過去最大。翌日発表された生産者物価指数(PPI)統計の食品価格は18%上昇し、ほぼ50年ぶりの高騰。PPIがCPIに波及するのは1、2カ月後との専門家の指摘もあり、食品インフレの脅威はまだ始まったばかりのようです。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
ESG
世界で最も知名度の高い電気自動車(EV)メーカー、米テスラがESG(環境・社会・企業統治)に焦点を絞った米S&P500ESG指数の構成銘柄から除外された。S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズは、テスラのESGスコアは過去1年間「非常に安定」しているものの、世界の同業他社のスコアが改善したことで順位を落としたと説明。労働環境や自動運転システムに関連した死亡・負傷事故への調査におけるテスラの対応を巡る懸念にも言及。低炭素戦略の欠如や業務遂行に関する規範もマイナスな要素となったという。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)はツイートで、ESGは「詐欺」だと批判した。
スタグフレーション不可避
米経済は一時的なスタグフレーションを回避することができず、市場は深刻な成長低迷のリスクにまだ注意を払っていないと、グラマシー・ファンド・マネジメントのモハメド・エラリアン会長が警告。恐らくリセッション(景気後退)を回避できるが、「成長には減速が見られ、われわれはインフレ高止まりを目の当たりにしている」と続けた。米金融当局が2021年からインフレは「一過性」との見方を示していたことが、今の状況を招く一因となったと同氏は批判した。
リセッションの可能性
米銀ゴールドマン・サックス・グループのデービッド・ソロモンCEOは、成長の減速と資産価格の下落に顧客は備えているとし、「極度に懲罰的な」インフレで経済への課税が生じているとの見方を示した。「リセッション(景気後退)の可能性はある」と述べた。株価下落は予測可能だが、相場混乱が信用スプレッドに波及する場合は「やっかいなこと」になるとした。「金融状況の引き締まりが見られる」とし、「金融政策が一段と大きく引き締められる環境に入りつつあることを踏まえれば、資産価格に起きていることは驚きではない」と語った。
SECのメス
ウォール街の主要金融機関に対し、トップトレーダーやディールメーカーが使う個人の携帯電話100台余りを対象に組織的調査に着手するよう米証券取引委員会(SEC)が指示している。通信アプリ「ワッツアップ」などプラットフォーム経由のひそかなメッセージのやりとりに対し、かつてない規模で調査のメスが入る。シティグループとゴールドマン・サックス・グループ、モルガン・スタンレー、英銀HSBCホールディングス、クレディ・スイス・グループを含む金融機関は、米当局の調査要請に対応している最中としているが、これら全てが社員や行員の携帯にアクセスしているかどうか明らかでない。専門職同士や顧客との会話で許可されていないメッセージプラットフォームを利用する慣行がどの程度広がっていたか、米金融規制・監督当局が把握する狙いがある。
25%超える株安
ディスカウントチェーン大手ターゲットの株価が急落し、一時25%を超える下げとなった。同業の米ウォルマートも前日、利益見通しを引き下げている。ターゲットのブライアン・コーネルCEOは、2-4月(第1四半期)に急増した経費について、落ち着く兆しはほとんど見られないと説明。通期の売上高営業利益率が6%程度にとどまり、従来予想を2ポイント下回るとの見通しを示した。第1四半期の調整後利益は、ブルームバーグがまとめたアナリスト23人の予想の最低値を下回った。バイタル・ナレッジのアダム・クリサフルリ氏は「食品とガソリンのインフレにより消費者の裁量・一般商品への支出が減っており、店側は商品を売りさばくために大幅な値引きを余儀なくされている」と分析した。
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