バイデン大統領は北大西洋条約機構(NATO)加盟を申請したスウェーデンとフィンランドの首脳とワシントンで会談し、両国の加盟を「強く支持」すると表明した。この加盟にはトルコが反対しているが、ストルテンベルグNATO事務総長は申請が速やかに受け入れられることに期待感を示した。

  一方でトルコのエルドアン大統領は、自身がテロリストと見なすクルド人武装勢力に対する一部NATO加盟国のアプローチには不満があると語った。

  ウクライナ南東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所からは、18日にさらに多くの兵士が退避した。赤十字は兵士数百人を戦争捕虜として登録を開始したと発表。中国は安価なロシア産原油で戦略備蓄を補充する交渉を進めている。

  ウクライナ情勢を巡る最近の主な動きは以下の通り。

米上院、400億ドル規模のウクライナ支援法案可決

  米上院は400億ドル(約5兆1000億円)余りに上るウクライナ支援法案を86対11で可決した。バイデン大統領の署名を経て成立する。

米上院、400億ドル規模のウクライナ支援法案可決-大統領に送付

ロシア軍、ドネツク・ルガンスク両州を完全掌握する-大統領府

  ロシア軍はドネツク・ルガンスク両州の「歴史的な境界」までウクライナ領を制圧し、近隣地域を「非武装化」すると、ロシア大統領府幹部が語った。ウクライナ軍の頑強な抵抗を前に進軍は滞っているが、ロシアの野心的な戦争目的を再確認した。

  ロシア大統領府のキリエンコ第1副長官はテレビ中継された会合で、制圧の時間的なめどは示さなかった。ロシア軍が占領する地域の当局は、ロシアへの編入を目指す公算が大きいと示唆している。

米ロの軍トップが電話会談-インタファクス

  ロシアのゲラシモフ軍参謀総長と米国のミリー統合参謀本部議長がウクライナでの戦争について電話で協議したと、ロシアのインタファクス通信が報じた。ロシアがウクライナに侵攻した2月24日以降、両者が直接連絡を取ったのは初めて。

  インタファクスによると、ロシア国防省は米国の主導で会談が行われたとの説明以外、詳細は明らかにしていない。

バイデン米大統領、スウェーデンとフィンランドのNATO加盟を支持

  バイデン米大統領はホワイトハウスでフィンランドのニーニスト大統領、スウェーデンのアンデション首相と会談し、両国の北大西洋条約機構(NATO)加盟に支持を表明した。ロシアのウクライナ侵攻への対応として、両国は18日にNATO加盟を正式に申請した。

  バイデン氏は記者団に対し、両国は「NATO加盟要件の全てを満たしている」と述べた。

ドイツ、ウクライナに10億ユーロ供与へ

   ドイツはウクライナに10億ユーロ(約1350億円)を供与し、短期的な流動性を支援する。主要7カ国(G7)もこれに続く見通しだ。

ドイツ、ウクライナに10億ユーロ供与へ-G7としての資金支援を示唆

NATO事務総長、北欧2カ国の早期加盟実現に前向き

  ストルテンベルグNATO事務総長は、スウェーデンとフィンランドの加盟申請が「数カ月ではなく数週間以内に」受け入れられることを期待していると表明。両国の加盟申請を巡るトルコの懸念に対処する方法を見いだすことに期待感を示した。

Members of the MPK, the National Defence Training Association of Finland, attend a training at the Santahamina military base in Helsinki, Finland on May 14, 2022. – Finland’s President and the Prime Minister had said on May 12, 2022 they believed Finland should join NATO “without delay”, and a special executive committee is expected to announce Finland’s formal decision on May 15, 2022. (Photo by Alessandro RAMPAZZO / AFP) (Photo by ALESSANDRO RAMPAZZO/AFP via Getty Images)

占領地のロシア編入、決定するのは住民-ロシア大統領府

  ロシア軍がウクライナで現在占領している地域をロシアが併合するかどうかは、住民の意思によって決まるだろうとペスコフ大統領府報道官が語った。これまでにロシアの複数の当局者は、占領地を恒久的にロシア領とする野心について述べていた。

  プーチン大統領は侵攻開始当初、ロシアはウクライナの領土を占領する計画はないと言明していた。こうした野心はプーチン氏の発言と矛盾するのではないかと同報道官は問われたが、直接の回答は避けた。

中国、原油購入でロシアと交渉-関係者

  非公開の情報だとして匿名を要請した関係者によると、中国はロシアと追加購入について協議している。追加供給される原油は、中国の戦略備蓄の補充に使われるという。交渉は政府間で行われ、石油会社はほとんど直接的に関与していないと関係者の1人は述べた。

中国が原油購入でロシアと交渉、戦略備蓄の補充に-関係者

アゾフスターリ製鉄所、ウクライナ軍兵士がさらに「降伏」-ロシア発表

 アゾフスターリ製鉄所で18日にさらに771人のウクライナ軍兵士が「降伏した」と、ロシア国防省のコナシェンコフ報道官が説明した。16日以降に降伏した兵士の数は合計1730人に上り、このうち80人が負傷しているという。治療が必要な兵士はウクライナ東部ドネツク州の分離主義者が支配する地域の病院で手当を受けているとも述べた。

  一方、赤十字は同製鉄所から退避した数百人を、ロシアとウクライナの合意の下で戦争捕虜として登録を始めたと発表した。この手続きは継続するという。ウクライナは同製鉄所から退避した兵士らを最終的に捕虜交換で帰還させる考えを示している。ロシアは合意の存在をこれまで認めておらず、同国司法当局はこのウクライナ軍兵士を訴追する構えを見せている。

岸田首相:ウクライナへ6億ドルの財政支援

  岸田文雄首相は19日、ウクライナへの支援額を倍増して6億ドル(約770億円)にすると発表した。追加の3億ドルは世界銀行を通じた融資で、ウクライナの要請に応じたと、首相は記者団に説明した。

ロシア軍内部の処罰が始まっている公算-英分析

  ロシア軍将校は「上官に重要な決定をますます委ねる」ようになっており、中央集権的な指揮・管理モデルに多大な負担がかかっている公算が大きいと、英国防省がツイッターに分析を掲載した。

  侵攻初期の計画で失敗したと見なされた複数の軍幹部に処分が下された可能性が大きいとも指摘。ハリコフ制圧の失敗の責任を問われたキセル中将は、職務停止となったとの見方を示した。

米上院、ブリンク氏の駐ウクライナ大使指名を承認

  米上院はベテラン外交官のブリジット・ブリンク氏の駐ウクライナ大使指名を承認した。これに先立ち、米国はウクライナの首都キーウ(キエフ)の米大使館の業務を3カ月ぶりに再開した。ブリンケン米国務長官が明らかにした。

トルコの「正当」な懸念にNATOは対応を-外相

  トルコのチャブシオール外相は同国の安全保障上の懸念は正当だとNATO加盟国は認めているとした上で、この懸念に対応するようNATOに求めた。

  同外相はブリンケン国務長官とニューヨークで会談後、「加盟国ないし加盟申請国がわれわれを狙う組織を支援することは容認できない」と発言。スウェーデンは過激派組織「イスラム国」(IS)との戦いを支援するという名目でクルド人民兵組織「人民防衛隊」(YPG)に武器を供給しているが、この武器はトルコの兵士や民間人の殺害に使用されていると述べた。

国連事務総長、ロシア農産物・肥料の世界市場アクセスで交渉中

  グテレス国連事務総長は国連本部で開かれた食料安全保障を話し合う閣僚級会合で、ロシアの農産物や肥料が世界市場に自由にアクセスできるようにするため、ロシアと米国、ウクライナ、欧州連合(EU)の当局者と交渉していると明らかにした。

ウクライナ東部のロシア軍が作戦の規模縮小-米国防当局者

  米国防当局者は記者団に対し、ウクライナ東部のロシア軍が大きな戦果を上げるのに失敗した後に作戦の規模を縮小し、町や村などより小さな目標物に重点を置いていると語った。

原題:Ukraine Latest: US Senate Sends Biden a $40 Billion Aid Bill
Ukraine Latest: US Names New Envoy After Kyiv Embassy Reopens(抜粋)