ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる19日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)
イギリス国防省“ロシア 成果あげられていない幹部を解任か”
ロシア軍の動きについて、イギリス国防省は19日、ロシアが、成果をあげられていないとする幹部を解任しているとして東部ハルキウの侵攻に従事していた司令官や旗艦「モスクワ」が沈没した黒海艦隊の司令官などが、責任を追及されたという見方を示しています。
そのうえで、ロシア軍が劣勢にあるともされる中、現場の将校たちは、責任を回避するため、より上層部に決定を委ねる事態になっているとして「このような状況でロシアが主導権を取り戻すことは困難だろう」と分析しています。
ロシア 新型レーザー兵器投入誇示 ゼレンスキー大統領は批判
ロシアで軍事開発を担当するボリソフ副首相は、18日、ウクライナでの軍事作戦でロシア軍が新型のレーザー兵器、「ザディラ」を投入し、この兵器は5キロ離れた無人機などを破壊できるなどと誇示しました。
これに対し、ゼレンスキー大統領は18日、このレーザー兵器について「ナチス・ドイツも戦争で勝つ見通しがなくなると『驚異の兵器』の宣伝を始めていた。ロシアの侵攻が完全に失敗したことを示している」と痛烈に批判しました。
ロシア国防省“これまでにアゾフスターリ製鉄所から1730人投降”
ロシア国防省は19日、ウクライナ東部の要衝マリウポリにあるアゾフスターリ製鉄所からこれまでの24時間で新たに771人が投降し、今月16日以降、ウクライナ側から合わせて1730人が投降したと発表しました。
ウクライナ軍の参謀本部は、製鉄所での戦闘任務は終わったとしていますが、親ロシア派の武装勢力側は、製鉄所にはウクライナ側の司令官などがまだ残っていると指摘しています。
ウクライナから国外に避難 636万人 UNHCR(18日時点)
UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ロシア軍の侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数は、18日の時点でおよそ636万人に上っています。
主な避難先は、
▽ポーランドがおよそ341万人、
▽ルーマニアがおよそ93万人、
▽ハンガリーがおよそ62万人、
▽モルドバがおよそ46万人などとなっています。
また、▽ロシアに避難した人はおよそ87万人となっています。
WFP事務局長 “食料安全保障に影響を与える”
国連のWFP=世界食糧計画のビーズリー事務局長は、13日、SNSに投稿した動画の中で、ウクライナ情勢が世界の食料安全保障に影響を与えるとしたうえで「北アフリカやサヘル地域、エチオピア、スーダン、南スーダン、ソマリアが深刻な食料安全保障の問題に直面することを懸念すべきだ。レバノンやヨルダン、シリア、イエメンから大勢の人が移動を始める可能性もある」と述べ、中東やアフリカで食料不足が起き、社会が不安定になれば多くの移民や難民が生じると、警鐘を鳴らしました。
そのうえで「まずは国際的な関心を喚起しなければならない。さもなければ現状の危機のうえに新たな危機が積み上がることになる」と述べ、国際社会はウクライナ情勢への対応と並行して食料安全保障の問題にも目を向ける必要があると、訴えました。
WFPは先月発表した報告書の中で、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続けば、世界全体で新たに4700万人が飢餓に陥るおそれがあると指摘していました。
米バイデン大統領 日韓訪問に向け19日にワシントン出発へ
アメリカのバイデン大統領は就任後初めてとなる日本と韓国への訪問に向けて19日、首都ワシントンを出発します。
日本では、岸田総理大臣と首脳会談を行うほか日米豪印の4か国の枠組み、クアッドの首脳会合にも出席する予定で、ウクライナ情勢への対応を迫られる中でも中国を念頭にインド太平洋地域への関与を深める姿勢に変わりはないと強調したい考えです。
日本郵便 ウクライナ宛て国際郵便 20日から一部の引き受け再開へ
日本郵便は、ウクライナ情勢の悪化を受けて輸送手段が確保できないとして、ことし2月からウクライナ宛てのすべての国際郵便の引き受けを停止していました。
その後、航空会社と交渉を進めた結果、必要な航空便を確保するめどがたったとして、日本郵便では20日からウクライナ宛ての郵便のうち▽EMS=国際スピード郵便と、▽航空機を使って手紙やはがき、それに小包を運ぶ航空郵便について、引き受けを再開することを決めました。
船便については、現時点で再開の見通しはたっていないということです。
また、ウクライナ情勢の悪化でことし3月から引き受けを停止していたベルギー宛てのEMSなどについても20日から引き受けを再開するということです。
日本郵便では「再開直後は差し出しが集中して、大幅な遅延が生じる可能性もある」と説明しています。
ドネツク州知事 “子ども含む市民17人死亡”
東部ドネツク州のキリレンコ知事によりますと、17日、ドネツク州北部の住宅がミサイル攻撃を受け1人が死亡したほか、9歳の子どもが重傷を負ったということです。
また同じ17日には、ドネツク州北部にある建設資材を製造する企業の建物が攻撃を受け、火災が発生しました。キリレンコ知事はロシア軍による空爆だったとしています。
ドネツク州では17日と18日の2日間で、市民17人が死亡し、少なくともこのうち2人は子どもだったということです。
ゼレンスキー大統領は17日に公開した動画で「ロシア軍は攻め込もうとしている地域で成功を収めることができていない。このためミサイル攻撃などで成功を示そうとし、むだに終わっている」と述べロシア軍の攻撃を非難しています。
岸田首相 ウクライナ支援のため追加で3億ドルの借款表明
岸田総理大臣は、ロシアの軍事侵攻を受けるウクライナを支援するため、3億ドルの借款を追加で行う方針を明らかにしました。
岸田総理大臣は、19日午前東京都内で記者団に対し「ウクライナでは引き続き大変厳しい状況が続いている。その中でロシアの侵略に伴う財政事情の悪化により、短期的な財政資金についてもウクライナ側より支援のニーズが寄せられている。これに応えるためG7および国際社会の一員として、日本としても対応していかなければならない」と述べました。
そのうえで「日本としては世界銀行と協調する形で、従来の3億ドルを倍増して6億ドルの財政支援を行うことにする」と述べ、さらに3億ドルの借款を追加で行う方針を明らかにしました。
これによりウクライナへの借款は6億ドル、日本円でおよそ770億円規模となります。
そして岸田総理大臣は「わが国は祖国のために奮闘するウクライナとともにある。今後もG7、そして国際社会と連携しながらウクライナを強く支援していく」と述べ、来週予定されている日米首脳会談と日米豪印4か国のクアッド首脳会合でこうした方針を説明し、G7などと連携しながらウクライナへの支援を継続していく姿勢を強調する考えを示しました。
国連 事務総長 “ウクライナからの穀物などの輸出再開へ対応を”
国連のグテーレス事務総長は18日、アメリカの呼びかけで国連本部で開かれた世界の食料安全保障を話し合う閣僚級会合に出席しました。
このなかでグテーレス事務総長はロシアの侵攻でウクライナからの小麦などの穀物の輸出が、またロシアからの肥料などの輸出が減って世界的な流通量が減少し、価格も高騰しているとして、このままでは世界的な食料不足に陥るおそれがあると指摘しました。
そのうえで滞っている穀物などの輸出の再開に向けてロシアとウクライナ、それにトルコ、アメリカ、EU=ヨーロッパ連合などと緊密に連携していると明らかにし「世界の人たちを飢餓から救い出す唯一の手は国際社会が緊急に団結して行動することだ」と述べて対応を急ぐよう訴えました。
この日の会合にはアメリカや日本、ドイツなど40か国余りが参加しましたがロシアは参加しておらず、国連の安全保障理事会の議長国のアメリカは19日に安保理の会合を開いて食料安全保障について議論するとしています。
グーグル “ロシアにある子会社 破産申請の予定”
アメリカのIT大手グーグルは18日、ロシアにある子会社が現地の裁判所に破産申請を行う予定だと明らかにしました。
理由についてグーグルは、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻のあとロシア政府が会社の銀行口座を差し押さえたことで、現地で働く従業員への給与の支払いや取引先の業者などへの支払いを行うことができなくなったためだと説明しています。
これにともない現地で働くほとんどの従業員をロシア国外に移動させたということです。
グーグルは軍事侵攻を受けて、ロシア国内での動画投稿サイト ユーチューブなどの広告サービスを一時停止していますが、破産を申請したあとも検索サイトやメール、地図アプリなどのサービスは利用可能だとしています。
NATO加盟難色のトルコ外相と米国務長官 会談
北欧のフィンランドとスウェーデンのNATO=北大西洋条約機構への加盟に難色を示すトルコのチャウシュオール外相は18日、アメリカのブリンケン国務長官とニューヨークで会談しました。
会談の後、チャウシュオール外相は会見し、「スウェーデンはわれわれを標的にしているテロ組織に協力して武器供与までしている。その武器によってわれわれに死者まで出ている。トルコの正当な危惧を取り除くために同盟国がメッセージを出すというが、ことばだけでなく行動でも示してほしい」と述べ、トルコがテロ組織に指定しているクルド人武装組織がフィンランドとスウェーデンで活動しているとするトルコの懸念を払拭(ふっしょく)するため、NATO加盟国が行動を起こしてほしいと訴えました。
また、アメリカが過激派組織IS=イスラミックステートとの戦いで支援してきたシリア北部のクルド人武装組織についても関係の見直しを迫りました
国際的人権団体が報告書「明らかな戦争犯罪」
国際的な人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は18日、ロシア軍の兵士から拷問を受けたなどとするウクライナ人たちの証言をまとめた報告書を発表しました。
報告書によりますと、「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」が4月、首都があるキーウ州と北部チェルニヒウ州の合わせて17の町や村で現地調査を実施した結果、
▽ただちに処刑されたケースが22件、▽ほかの不法な殺害が9件、▽国家による不当な拉致、いわゆる「強制失踪」の可能性があるケースが6件、そして▽拷問が7件確認されたということです。
また今月10日までのおよそ1か月間、65人から聞き取リ調査を行ったところ、キーウ州の66歳の女性はロシア軍の兵士が息子を自宅から引きずり出すのを目撃し、後日息子が自宅近くで死亡しているのを発見したということで「耳を撃たれていて顔が血で覆われていた」と証言しているということです。
このほかキーウ州の47歳の男性は、ロシア軍に目隠しをされ手錠をかけられた状態で拘束されたあと尋問を受けたと証言し「ロシア軍の兵士が自分の頭にライフルを突きつけてきた」とか「電気ショックを与えられとても痛かった」などと話しているということです。
「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は「これらの市民に対する行為は明らかな戦争犯罪であり、迅速かつ公平な調査を行い適切に起訴されるべきだ」と訴えています。
日本政府 ウクライナ支援へ 追加で3億ドル借款の方針固める
ロシアの軍事侵攻を受けるウクライナを支援するため、政府は3億ドルの借款を追加で行う方針を固めました。
すでに表明している3億ドルと合わせて、ウクライナへの借款は6億ドル日本円でおよそ770億円規模となります。
岸田総理大臣は来週予定されている日米首脳会談でバイデン大統領に説明し、G7=主要7か国で結束してウクライナへの支援を継続していくとともに、ロシアに対するさらなる制裁も含め圧力を強めていくことを確認したい考えです。
マリウポリ市長「時期が来れば、防衛から反撃に転じる」
ウクライナ東部の要衝マリウポリのボイチェンコ市長は18日、NHKのインタビューに応じ、「ウクライナの部隊はマリウポリと製鉄所を防衛してきたが、その任務を終えた。時期が来れば、反撃を始め、ウクライナ側が取り戻す」と述べ、ロシア軍がマリウポリを完全に掌握しつつあるものの、奪還を目指すと強調しました。
この中で、ウクライナの部隊の動きについて「80日以上にわたって、マリウポリやアゾフスターリ製鉄所の防衛を続けてきた。ロシア軍を押しとどめてきたがその任務が終了した」と述べました。そのうえで、ボイチェンコ市長は「ウクライナ側がマリウポリを取り戻す準備はできている。時期が来れば、防衛から反撃に転じる。われわれが勝利し、私自身も必ずマリウポリに戻る」と述べ、ロシア軍がマリウポリを完全に掌握しつつあるものの、奪還を目指すと強調しました。
ロシア外務省 “カナダ公共放送のモスクワ支局を閉鎖”
ロシア外務省のザハロワ報道官は18日、カナダの公共放送CBCのモスクワ支局を閉鎖し、駐在記者のビザや記者証の取り消しを決定したと明らかにしました。この中でザハロワ報道官は、カナダの通信当局がことし3月にウクライナ情勢をめぐってロシアの国営テレビ、RTのカナダ国内での放送を禁止したことに触れたうえで「メディアの正常な活動を妨げるような措置を見過ごすことはできない。当然の反応だ」と述べ、報復措置であることを強調しました。
ロシア側の決定を受けてカナダのトルドー首相は自身のツイッターに「事実を報道しないよう黙らせようとするもので、到底容認できない」と投稿し、プーチン政権の対応を強く批判しました。
ロシア副首相 ザポリージャ州の都市訪問「道路を整備する」
ロシアの国営通信社によりますと、ロシアのプーチン政権で都市開発などを担当するフスヌリン副首相は18日、ウクライナ南東部ザポリージャ州の都市メリトポリを訪れたということです。メリトポリはロシアが掌握したと一方的に主張していて、フスヌリン副首相は「ロシアとつながる道路を整備する」と述べ、ロシアと支配地域を結ぶ道路の建設を進めていく考えを示しました。さらに「今月にもルーブルで年金と給料が支払われる」と述べ、メリトポリの住民に対してウクライナの通貨フリブニャではなくロシアの通貨ルーブルで支払いが行われると主張しました。そして「メリトポリの展望はロシアの一部になることだ。併合の可能性のために最大限支援したい」と述べました。
フスヌリン副首相は今月8日には東部マリウポリを訪れ、港の復興などについて親ロシア派の勢力と協議したとしていて、ロシアとしては道路や港などのインフラ整備を通じて支配の既成事実化を進めていくねらいがあるとみられます。
EU 2027年までにロシアからの化石燃料輸入停止へ計画
EU=ヨーロッパ連合はロシアからの化石燃料の輸入を止めるため、2027年までにEUと加盟国の政府や企業が合わせて28兆円余りを投じて再生可能エネルギーの普及やエネルギーの調達先の多角化などを進めていく計画を明らかにしました。
このうち再生可能エネルギーの分野では、2029年までに新たな建築物の屋根に太陽光パネルの設置を義務づけることを目指すほか、2030年までに再生可能エネルギーでつくる水素の生産と輸入をいずれも1000万トンとするとしています。さらにこの計画を実現するため、2027年までにEUと加盟国の政府や企業が合わせて2100億ユーロ、日本円で28兆円余りを投資するとしています。
EU加盟国の中ではロシアからの石油に大きく依存するハンガリーが輸入の禁止に反対していて、計画ではこうした国が調達先を多角化できるよう最大20億ユーロ、2700億円を充てることも盛り込まれています。
プーチン大統領側近「当初は間違いも」
ロシア南部のチェチェン共和国の指導者で、プーチン大統領の側近の1人として知られるカディロフ氏は18日、ロシアの軍事作戦について「当初は間違いと、いくつかの不十分な点があった。しかし今は計画どおり進んでいる」と述べ、作戦に不備があったと指摘しました。
カディロフ氏はプーチン大統領に強い忠誠心を示す武闘派の側近で、ウクライナ侵攻ではチェチェンの戦闘員を率いて東部の要衝マリウポリでの戦闘などに参加しています。プーチン大統領の側近が作戦に不備があったことを指摘するのは異例で、マリウポリなどでの戦闘でロシア側も苦戦を強いられたことがうかがえます。
米イエレン財務長官「ロシア国債への特例終了も」
アメリカのイエレン財務長官はロシアの国債の取り引きを制限するため、投資家に利払いなどの受け取りを認めてきた特例を終わらせる考えを示唆しました。実際に特例が終わればロシア国債がデフォルト=債務不履行と認定される可能性があります。
アメリカ政府はウクライナに侵攻したロシアへの制裁としてロシアのドル建ての国債の取り引きを制限する措置をとっていますが、投資家の利払いや償還金などの受け取りについては特例として今月25日まで認めています。
これについてイエレン財務長官は18日、訪問先のドイツでの記者会見で「特例は失効する可能性が高い。最終的な決定はしていないが、継続される可能性は低い」と述べ、今月25日で特例を終わらせる考えを示唆しました。
実際に特例が終わり、投資家が利払いなどを受け取れないケースが出れば、ロシア国債はデフォルト=債務不履行に陥ったと認定される可能性があります。
アメリカ キーウの大使館業務を再開
アメリカのブリンケン国務長官は18日声明を発表し、ウクライナの首都キーウで現地の大使館の業務を再開したと明らかにしました。アメリカはウクライナ情勢の悪化を受けてキーウの大使館の機能を隣国ポーランドに移したあと、4月にはウクライナの西部リビウで業務を再開するとともにキーウでの本格的な業務再開に向けて準備を進めていました。
ブリンケン長官は声明で「ウクライナの政府と国民はロシアの残虐な侵攻から自分たちの国を守っており、われわれは支援を続けていく」として、引き続きウクライナへの支援に取り組む姿勢を強調しました。
北欧のフィンランドとスウェーデンがNATO=北大西洋条約機構への加盟を申請したことについて、アメリカのバイデン大統領は声明で「歴史的な申請だ」として早期の加盟実現に取り組む考えを示しました。
さらにアメリカとして引き続きバルト海周辺での軍事訓練や駐留を維持するとして、ロシアを念頭に加盟に向けた手続きが進められる間も「安全保障に対するいかなる脅威にも警戒を怠らず、侵攻やその脅威を抑止し、対抗していく」としています。
またオースティン国防長官はスウェーデンのフルトクビスト国防相と会談し、加盟申請への支持を伝えたのに対し、フルトクビスト国防相は「ロシアはヨーロッパと世界の安全保障の秩序を変えようとしており、ウクライナへの攻撃はヨーロッパに対する長期的な脅威を引き起こす」と述べ、ロシアへの強い警戒感を示しました。
米国防総省高官 “東部や南部で攻防”
アメリカ国防総省の高官は18日、ウクライナでの戦闘の状況について第2の都市、東部ハルキウ周辺で「ウクライナ軍の部隊が引き続きロシア軍の部隊をロシアとの国境に向けて押し返している」という見方を示しました。
一方で東部のドネツク周辺では、ロシア軍の部隊が西側のベリカノボシルカ方面へと限定的に前進したとしています。ベリカノボシルカ周辺にはマリウポリから別の部隊も向かっているということで、2方面から連携しようとしているという分析を示しました。
また南部のヘルソンとミコライウの間のロシア軍の部隊が黒海に向けて前進したとしています。
英国防省「ウクライナの頑強な抵抗」
イギリス国防省は18日の分析で「ウクライナの頑強な抵抗が、ロシア軍によるマリウポリの完全掌握を遅らせた。ロシア軍の当初の試みは挫折し、多くの兵士が犠牲となった」と指摘しています。そのうえでロシア軍は兵員を補完するためにチェチェンなどから数千人規模の戦闘員を投入したものの、こうした混成部隊が指揮系統を乱し、ロシア軍の作戦遂行を妨害していると分析しています。
ウクライナ市民 少なくとも3778人死亡 うち251人は子ども 国連
国連人権高等弁務官事務所はロシアによる軍事侵攻が始まったことし2月24日から今月17日までに、ウクライナで少なくとも3778人の市民が死亡したと発表しました。このうち251人は子どもだとしています。
地域別では東部のドネツク州とルハンシク州で2070人、キーウ州や東部のハルキウ州などそのほかの地域で1708人の死亡がそれぞれ確認されているということです。
またけがをした市民は4186人に上るとしています。
ただ国連人権高等弁務官事務所は東部のマリウポリなどでの死傷者についてはまだ確認が取れていないなどとして、実際の死傷者の数はこれを大きく上回るという見方を示しています。
ロシア ヨーロッパの国々の外交官相次いで追放
ロシア外務省は18日、首都モスクワに駐在するフランスの外交官など34人を追放する措置をとると発表しました。またモスクワや第2の都市サンクトペテルブルクに駐在するスペインの外交官など27人、それにロシアに駐在するイタリアの外交官など24人も追放すると発表しました。いずれもロシアの外交官などが追放されたことへの対抗措置だとしています。
17日にはモスクワに駐在するフィンランド大使館の職員2人を追放する措置をとると発表していて、ロシアはヨーロッパの国々に対して相次いで対抗措置をとっています。