ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる21日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア これまでに入国禁止措置の米市民リスト公表

ロシア外務省は21日、ウクライナへの軍事侵攻を受けたアメリカの制裁に対する報復措置として、これまでにロシアへの入国禁止の措置をとったアメリカ市民のリストを公表しました。

リストにはことし3月に入国禁止の措置をすでに発表しているアメリカのバイデン大統領やブリンケン国務長官など政府の要人の他、民間企業のトップなども含まれていて、あわせて963人に上っています。

また、ロシア外務省は、カナダに対しても同様の報復措置としてすでにトルドー首相など600人近くを入国禁止にするとして、リストを公表していますが、21日には、新たにトルドー首相のソフィー夫人など26人に対し入国禁止の措置をとると、発表しました。

ロシア外務省は、日本を含む各国に対して報復措置として同様の入国禁止の措置を相次いで打ち出していて、各国との関係が大きく冷え込んでいます。

ウクライナから日本へ避難の人1000人に 長期化への対応が課題

政府はウクライナからの避難民を積極的に受け入れる方針で、日本に入国した人たちは、きょうポーランドから成田空港に到着した便に搭乗していた人たちを含め、少なくとも1000人に達したことが出入国在留管理庁への取材でわかりました。

内訳は、
▽4月5日に政府専用機で避難してきた人が20人
▽政府が座席を借り上げた民間の航空機で避難してきた人が合わせて81人
▽そのほかの手段で避難してきた人が少なくとも899人に上るということです。

このうち、少なくとも12人はすでに日本から出国しているということです。

政府は避難してきた人たちに90日間の短期滞在を認める在留資格を付与していて、本人が希望すれば就労が可能で1年間滞在できる「特定活動」の在留資格に変更することができます。

5月18日の時点で694人が在留資格を変更しているということです。

避難生活が長期化する中、ことばの壁や就労などへの不安にどのように対応し、必要な支援を行うかが課題となっています。

ゼレンスキー大統領 ”ロシアは被害の補償を行うべき”

ウクライナのゼレンスキー大統領は、20日、新たに公開した動画で、ロシアの軍事侵攻で被害を受けた国民、一人ひとりが補償される仕組みが必要だとして、各国に協力を呼びかけました。

ゼレンスキー大統領は「ロシアは、ウクライナで破壊したものに対して、補償を行うべきだ。燃やされた家、破壊された学校や病院、爆破された文化施設やインフラ、潰された事業などに対して補償を求める」と訴えました。

そして「われわれのパートナーの国々が多国間協定に署名することで、ロシアの行動で被害を受けた国民、一人ひとりの損失が、すべて補償される仕組みが整えられるよう求める」と述べました。

そのうえで「協定によって、各国の管轄下にあるロシアの資産を凍結、没収し、 すべての犠牲者が適切な補償を受けるための特別な基金を創設するべきだ」と述べ、各国に賛同を呼びかけました。

ロシア軍 東部2州の完全掌握ねらい攻勢強める構え

ロシア国防省は20日、東部の要衝マリウポリについて全域を掌握したと主張し、ウクライナのゼレンスキー大統領は拠点に残っていた兵士全員の退避が終わるという見通しを明らかにしました。

ロシアは東部2州の完全掌握をねらって攻勢を強める構えで、徹底抗戦するウクライナ側と激しい攻防が続くとみられます。

ロシア軍は東部2州の完全掌握をねらって部隊を再配置して攻勢を強めるとみられ、ショイグ国防相は2州のうちルハンシク州について「解放はまもなく達成される」と主張しました。

これに対しウクライナ軍は欧米の軍事支援を受けて徹底抗戦の構えで、ウクライナ国防省の報道官は20日、「防衛作戦を展開し、敵に大きな損害を与えている」と述べていて、今後は東部2州の各地で激しい攻防が続くとみられます。

ゼレンスキー大統領 “数時間のうちに製鉄所から全員退避”

AP通信は、マリウポリのアゾフスターリ製鉄所を拠点に戦闘を続けていたウクライナ兵を乗せたバスが20日、製鉄所を出発したとする映像を伝えています。

映像には、兵士たちがバスの中で疲れ切った表情で黙って座っている様子が写っています。

ウクライナのゼレンスキー大統領は20日、ウクライナ公共放送のインタビューで兵士たちについて「彼らは軍の司令部から、みずからの命を救うため製鉄所の外に自由に出られるというメッセージを受け取った」と述べました。

そして、民間人などはすでに全員が製鉄所から退避したとしたうえで「そのほかの人々も、おそらく数時間のうちに全員の退避が終わるだろう」と述べました。

ロシア国防省 “マリウポリ全域を掌握”

ロシア国防省は20日、ウクライナ東部の要衝マリウポリで、ウクライナ側の部隊が拠点としていたアゾフスターリ製鉄所から、これまでに司令官を含む2439人が武器を捨てて投降したと主張し「ロシア軍の完全な支配下に置かれた」と発表しました。

そのうえで、ショイグ国防相がプーチン大統領に、製鉄所の制圧とマリウポリ全域の掌握を報告したとしています。

ロシア国防相“西部に部隊編成予定” 北欧2か国NATO加盟申請で

ロシアの軍事侵攻を受け、北欧のフィンランドとスウェーデンがともにNATOへの加盟を申請しましたが、これについてロシアのショイグ国防相は「両国が加盟を申請したことで、ロシア西部軍管区の担当地域で緊張が高まり続けている。このような状況を受けて部隊の構成を改善し、年内に西部軍管区に12の部隊を編成する予定だ」と述べ、NATOに対抗するためとしてヨーロッパ諸国と接するロシア西部の部隊を増強する計画を明らかにしました。

ウクライナ国防省 “敵に大きな損害を与えている”

ウクライナ国防省の報道官は20日「戦闘地域の状況は、引き続き緊迫していて、さらにエスカレートする兆しがある」と述べ、ロシア軍が戦闘の前線で激しい攻撃を仕掛け、東部ドネツク州のスラビャンスクなどではウクライナ軍の守備陣の奥深くを砲撃しようとしていると指摘しました。

一方で「ウクライナ軍は防衛作戦を展開し、敵に人員と装備の面で大きな損害を与えている」と述べ、前日にドネツク州とルハンシク州でロシア軍の攻撃を合わせて14回撃退し、戦車8台を破壊するなど、侵攻を食い止めているとしました。

ゼレンスキー大統領 “文化施設にミサイル” 強く非難

ウクライナのゼレンスキー大統領は20日、東部ハルキウ州で文化施設がミサイル攻撃を受けた様子だとする監視カメラの映像をSNSで公開しました。

映像では、上空から飛んできたミサイルのようなものが建物を直撃して大規模な爆発が起き、大量の煙が立ち上り建物の破片が広い範囲に飛び散っています。

また、建物のそばを走っていた車が急停車し、降りてきた人たちが走って逃げる様子も写っています。

地元メディアによりますと、この爆発で11歳の子どもを含む7人がけがをしたということです。

ゼレンスキー大統領は、爆発はロシアのミサイルによる攻撃だとしたうえで「こうした標的を選ぶ連中の頭の中は一体どうなっているのだろう。絶対的な悪、絶対的な愚かさだ」と投稿し、強く非難しています。

プーチン大統領 “ロシアへのサイバー攻撃が深刻化”

ロシアのプーチン大統領は、20日、関係閣僚が出席する国家安全保障会議を開催しました。

この中で、プーチン大統領は「ロシアに対するサイバー攻撃は年々、増えているが、ウクライナへの軍事作戦を始めたあと、さらに深刻化し、規模も大きくなっている。情報空間でロシアに対する戦争が始まっている」と述べ、軍事侵攻の後、ロシアに対するサイバー攻撃が深刻化していると明らかにしました。

また「ロシアに対する制裁で、外国の情報技術やソフトウエアが規制され、ロシアの機器の技術サポートが一方的に停止された」と述べ、欧米側の制裁措置を批判しました。

そのうえで、プーチン大統領は「われわれへのサイバー攻撃や制裁による攻撃は失敗したと言える。われわれはこの攻撃に対し準備していたからだ」と述べたうえで、関係閣僚に対して、ロシアの情報セキュリティーの対策をさらに強化するよう指示しました。

ウクライナ 少なくとも3838人の市民死亡 256人は子ども 国連

国連人権高等弁務官事務所はロシアによる軍事侵攻が始まったことし2月24日から今月19日までにウクライナで少なくとも3838人の市民が死亡したと発表しました。

このうち256人は子どもだとしています。

地域別では、東部のドネツク州とルハンシク州で2119人、キーウ州や東部のハルキウ州などそのほかの地域で1719人の死亡がそれぞれ確認されているということです。

また、けがをした市民は4351人に上るとしています。

ただ国連人権高等弁務官事務所は、東部のマリウポリなどでの死傷者については、まだ確認が取れていないなどとして、実際の死傷者の数はこれを大きく上回るという見方を示しています。