バイデン米大統領は21日、総額約400億ドル(約5兆1150億円)規模のウクライナ支援法案に署名し、同法が成立した。一方、ロシア外務省は同日、バイデン大統領を含む963人の米国人に対しロシア入国などを禁止すると発表した。

  トルコのエルドアン大統領は21日、北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長やスウェーデン、フィンランドの首脳と相次いで電話会談し、両国の加盟にあらためて難色を示した。

  ロシア国防省は20日、ビデオ声明で、ウクライナ・マリウポリのアゾフスターリ製鉄所で残りのウクライナ兵が投降し、同製鉄所を完全に掌握したと発表した。同省によると、ショイグ国防相がプーチン大統領に戦闘の結果を報告した。

  ウクライナのゼレンスキー大統領は自国の国境を今年2月より前の位置まで戻せれば満足だとの考えを示唆した。

  ウクライナ情勢を巡る最近の主な動きは以下の通り。

リントナー独財務相。G7財務相・中銀総裁会議が開かれたボンでブルームバーグのインタビューに応じたSource: Bloomberg

ロシア軍、セベロドネツクに軸足-戦争研究所

  米シンクタンクの戦争研究所(ISW)によると、ロシア軍は21日、ウクライナ東部ルガンスク州セベロドネツクの包囲と掌握に向けた取り組みを強化し、今後も継続する見通しだ。イジュームを含む他の進軍の取り組みがほぼこう着したままになっているという。

ウクライナ交渉担当者、ロシアに譲歩せず-ロイター

  ウクライナ側の交渉チームメンバーであるポドリャク大統領府長官顧問はロイター通信とのインタビューで、ロシアに譲歩すれば戦争がエスカレートするとして妥協しない姿勢を示した。戦闘を中断すればロシアが兵器や人員を増強し、新たな攻撃態勢に入ると分析。ウクライナ側が妥協を許さない姿勢を強めていることを認めた。

トルコ大統領、スウェーデンとフィンランドのNATO加盟に再び難色

  トルコのエルドアン大統領は21日、北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長やスウェーデン、フィンランドの首脳と相次いで電話会談し、両国の加盟にあらためて難色を示した。

  アナトリア通信によると、同大統領はストルテンベルグ氏に対し、フィンランドとスウェーデンがトルコとの連帯を公に示さない限り、NATO拡大を支持しないと伝えた。両者は交渉の継続では一致した。

  エルドアン氏はスウェーデンのアンデション首相との電話会談で、スウェーデンによるクルド労働者党(PKK)との接触に不快感を示したとアナトリア通信が報じた。フィンランドのニーニスト大統領はエルドアン氏との会談について、「緊密な対話は続いている」とツイートした。

ロシア、バイデン米大統領ら入国禁止

  ロシア外務省は21日、バイデン米大統領を含む963人の米国人に対しロシア入国などを禁止すると発表した。リストにはバイデン氏のほか、ブリンケン国務長官や共和党のグラム上院議員らも記載されている。

米大統領、400億ドル規模ウクライナ支援法案に署名

  バイデン米大統領は21日、総額約400億ドル(約5兆1150億円)のウクライナ支援法案に署名し、同法が成立した。支援規模は先月にバイデン氏が議会に要請していた330億ドルを大幅に上回る。上下両院では圧倒的多数で法案が可決されており、ロシアによる侵攻に対するウクライナの抵抗への米国民の支持がうかがえる。

ムーディーズ、ウクライナを「Caa3」に格下げ

  格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは20日、ウクライナの信用格付けを「Caa3」に一段階引き下げた。同国の格付けは債務不履行を繰り返すエクアドルなどと同等となった。格付け見通しは「ネガティブ」(弱含み)。

ムーディーズ、ウクライナをCaa3に格下げ-戦争長期化でリスク増

G7が198億ドル支援表明

  G7財務相・中央銀行総裁会議は20日、ウクライナに198億ドル(約2兆5300億円)の財政援助を実施すると表明。「ウクライナに人道支援や必要な物資を提供するほか、ウクライナが緊急に必要としている短期的な財政支援を特に認識している」との共同声明を発表した。支援には、会議に向けて早急にまとめられた95億ドルの援助が含まれている。

G7財務相・中銀総裁、198億ドルのウクライナ支援を表明-声明

ロシア、利払いで振替機関に資金移管との声明

  ロシア財務省はクーポン支払いの資金をロシア連邦証券保管振替機関(NSD)に移したとの声明を発表。これによると、NSDは2026年5月償還債のクーポン7125万ドル(約91億円)と、36年5月償還債のクーポン2650万ユーロ(約36億円)の資金を受け取った。同省は「完全に」債務を履行したと表明した。

ロシア、2026年と36年償還債の利払いで振替機関に資金移管-声明 (1)

ロシア資産没収措置に他国も関心-カナダ財務相

  カナダのフリーランド財務相は、ウクライナ復興資金に充てるためにロシア資産を没収することを認めるカナダの法的措置について、G7の他のメンバーが関心を持っていると述べた。

財政赤字ルール適用停止の延長不要-独財務相

  欧州連合(EU)は財政赤字に関するルールの適用停止措置を2023年に延長する必要はないと、ドイツのリントナー財務相が述べた。事情に詳しい複数の関係者はブルームバーグに対し、欧州委員会が適用停止を23年末まで延長する提案を23日に行うと明らかにした。同ルールは新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を受けて、今年末までの予定で停止されている。

シュレーダー元独首相、ロスネフチ会長辞職へ  

  ドイツのシュレーダー元首相は、ロシア国営石油ロスネフチの会長職を辞することになった。同社によると、シュレーダー氏から任期を延長することはできないとの通知があった。ロシアによるウクライナ侵攻後もプーチン大統領と距離を置く姿勢を見せず、身内の社会民主党(SPD)からも批判の声が上がっていた。

フィンランドへのガス供給停止

  フィンランドの国営エネルギー会社ガスムは、ロシアの天然ガス供給が21日未明に停止することを明らかにした。ルーブルでのガス代支払いを拒否したことが背景。

フィンランド、ロシアがガス供給を21日に停止へ-欧州3カ国目に

ルーブルが7年ぶり高値

  ロシア・ルーブルが対ユーロで一時9%上昇し、2015年6月以来、約7年ぶりの高値を付けた。ロシアは天然ガスの代金をルーブルで支払うよう要求しているが、それに従う外国企業が増えたとみられている。

ウクライナ中銀、6月にも通常の金融政策決定か

  ウクライナ中銀は来月にも通常の金融政策決定を再開することを検討している。事情に詳しい関係者3人が明らかにした。同中銀はロシアによる侵攻後の経済崩壊とインフレ高進を受け、金利政策の判断を停止している。

チェルノブイリ原発近くの森林火災は放射線リスクなし

  ウクライナ当局者は国際原子力機関(IAEA)に対し、同国北部のチェルノブイリ原子力発電所近くで発生した森林火災は放射線リスクをもたらさないと報告した。グロッシIAEA事務局長が声明で明らかにした。IAEAもウクライナの分析に同意した。

米国と国連がウクライナ穀物鉄道輸送計画を検討-WSJ

  米国とグテレス国連事務総長が計画しているベラルーシ経由のウクライナ産穀物輸送計画に関し、米国はベラルーシのカリウム肥料業界に科している制裁措置を6カ月間免除する提案する可能性がある。WSJ紙が当局者の話として伝えた。

米政権、1億ドル相当の軍事支援発表-支援法案大統領送付に先立ち

  米上院が可決した400億ドル強のウクライナ支援法案の大統領送付に先立ち、バイデン政権は重火器やレーダーなどを含む1億ドル相当のウクライナ軍事支援を発表した。

  米国防総省によると、1億ドル相当の軍事支援には155ミリりゅう弾砲18門などが含まれる。

米国はウクライナへの兵器供与を拡大Source: Bloomberg

ロシア軍、ドネツク・ルガンスク両州を完全掌握する-大統領府

  ロシア軍はドネツク・ルガンスク両州の「歴史的な境界」までウクライナ領を制圧し、近隣地域を「非武装化」すると、ロシア大統領府幹部が語った。ウクライナ軍の頑強な抵抗を前に進軍は滞っているが、ロシアの野心的な戦争目的を再確認した。

  ロシア大統領府のキリエンコ第1副長官はテレビ中継された会合で、制圧の時間的なめどは示さなかった。ロシア軍が占領する地域の当局は、ロシアへの編入を目指す公算が大きいと示唆している。

原題:Ukraine Latest: Polish President to Address Parliament in Kyiv
Ukraine Latest: Russia Says It Controls the Mariupol Steel Works
Ukraine Latest: G-7 Pledge Ukraine Aid as Ruble Hits 7-Year High(抜粋)