ロシアのプーチン大統領は景気に強さが見られると強調した上で、主要な産業セクターは深刻な減速に直面しつつあると警戒感を示した。ウクライナ侵攻後の世界的な制裁措置がロシアを苦境に追い込んでいる。
同国のショイグ国防相は、ウクライナ東部ドンバス地方にある二つの州のうちルガンスク州の97%をロシア軍が掌握したと主張。ドイツのショルツ首相はリトアニアの首都ビリニュスを訪問した際、北大西洋条約機構(NATO)による欧州東部軍備強化の一環として、バルト3国に展開するドイツ軍をさらに増やす準備があることを明らかにした。
ロシアのラブロフ外相は7日、トルコのチャブシオール外相と会談するためアンカラに到着した。ロシア国営タス通信が報じた。
ロシア、ウクライナからの穀物出荷計画でトルコと合意-イズベスチヤ
ウクライナ情勢を巡る最近の主な動きは以下の通り。
ゼレンスキー大統領:ウクライナ、反攻に出る武器が不足
ウクライナ軍によるロシア占領地の解放は武器と人的資源の不足で鈍っていると、ゼレンスキー大統領が英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)とのインタビューで語った。同大統領府がインタビューでの発言記録を明らかにした。
反転攻勢に出るためには十倍の武器と人員をウクライナは必要としていると、大統領は主張。それでもウクライナは戦場でロシアを打ち負かす必要があると繰り返した。ロシア軍を侵攻開始前の位置まで押し戻したとしても一時的な勝利に過ぎず、ウクライナは領土の全てを取り戻さなければならないとも語った。
米国、国内投資家によるロシア債購入を禁止
米財務省はロシアに対する金融制裁を強化、米投資家に流通市場でのロシア債購入を禁止した。財務省外国資産管理局(OFAC)の報道官によれば、米企業はロシア債の保有および売却は認められるが購入はできない。
米財務省、国内投資家のロシア債購入禁止-想定外の策で取引ほぼ停止
ウクライナ鉄鋼メーカー、製品盗難巡り捜査要請
ウクライナの鉄鋼メーカー、メトインベストはロシア軍がマリウポリで同社の金属製品を盗んだとして、刑事訴訟手続きを開始するようウクライナ検事総長に要請した。ロシアのインタファクス通信が報じた。
プーチン大統領、景気見通しに警戒感
プーチン大統領は具体的に自動車セクターを挙げて懸念を示したほか、鉄鋼などの産業は「中期的に大幅な生産減に陥るリスク」があると指摘した。輸入部品の不足から自動車工場はほぼ全てが閉鎖している。大統領はその一方で、過去最低の失業率と通貨ルーブルの強さは明るい兆候だとも述べた。
ウクライナ、次の暖房シーズンに1.1兆円相当のガス輸入必要も
ウクライナの国営ガス会社ナフトガスのユーリー・ビトレンコCEOはブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、次の暖房シーズンにウクライナは最大80億ドル(約1兆1000億円)相当の天然ガス輸入が必要になるとの見通しを示した。
同CEOはウクライナが現在、液化天然ガス(LNG)輸入の資金調達を巡り米国と協議中だとし、資金が確保できれば欧州市場からパイプラインを通じて購入しているガスの代替が可能になるだろうと語った。
セルビアは対ロシア制裁への参加を引き続き拒否-大統領
セルビアのブチッチ大統領は、ロシアに制裁を科した「集団に加わることを拒否する」と述べた。また一部の隣国がロシアのラブロフ外相の搭乗便の上空通過を拒否したために同相のセルビア訪問が中止になったことについて、遺憾の意を示した。
同大統領は生中継された国営放送局RTSとのインタビューで、ロシア産原油を禁輸した場合、1バレル当たり約30ドル高いイラク産原油を購入せざるを得なくなるため、年間で推定6億ドルのコスト増となると説明した。
ロシア、米国人61人を入国禁止-イエレン氏ら
ロシアは米国の政府関係者や企業幹部ら61人を「無期限で」入国禁止とした。ロシア市民に対して「制裁を拡大し続けている」ことへの報復だと、外務省がウェブサイトで発表した。制裁対象にはイエレン財務長官やグランホルム・エネルギー長官、ホワイトハウス顧問、国務省高官らのほか、ブラックロックのラリー・フィンクCEO、デルタ航空のエド・バスティアンCEO、フィッチ・グループのポール・テイラーCEOらが含まれる。
ゼレンスキー大統領:ロシアはザポリージャ州の占領狙っている
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシア軍が一部占領するドネツク州の西隣に位置するザポリージャ州に現在、この戦争の「最も危険な状況」が存在すると語った。
ゼレンスキー氏はキーウで記者会見し、「電話通話の傍受から得られ、理解したところでは、敵はザポリージャ州の占領を狙っている」と述べた。
ロシアの原油収入は減少、輸出増でも
ロシアが原油輸出で得る収入は減っている。海上経由の原油輸出は6週ぶりの高水準に上っているが、欧州が敬遠する中でアジアの買い手に対して大幅な割引を提供していることが理由だ。
Russia’s Seaborne Crude Flows
Flows in the week ending June 3 compared with week ending May 27
Source: Vessel tracking data monitored by Bloomberg
Note: b/d – barrels a day
ウクライナ、穀物輸出で国連と協議-大統領
ウクライナは穀物を輸出する方法について国連と協議しており、トルコのエルドアン大統領とも状況を話し合っていると、ゼレンスキー大統領が明らかにした。
ゼレンスキー氏によると、ウクライナの港から輸出ができないでいる穀物は2500万トンにも上り、その量は秋までに7500万トンに達する可能性がある。ウクライナはベラルーシの鉄道を利用して輸出する提案を拒否したとゼレンスキー氏は説明し、ロシアとトルコとの間で行われた穀物輸出を巡る協議には招待されなかったと語った。
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