ロシアの外務省が、日本の漁船に北方四島周辺でのいわゆる「安全操業」を認める協定の履行を停止すると発表したことについて、ロシアのトルトネフ副首相は10日「漁業の権利は取り上げられるだろう」と述べました。

北方四島の周辺海域で行われる「安全操業」をめぐって、ロシア外務省は7日、日本政府が協定に基づく支払いを凍結する方針をとったなどとして、協定の履行を停止すると一方的に表明しました。

これについてロシアのトルトネフ副首相は10日、記者団に対し、日本側が漁獲割り当てに関する支払いを拒否していると主張したうえで「漁業の権利は取り上げられるだろう」と述べました。

トルトネフ氏は、前日の9日にも生産的に漁業ができる海域は限られているとし「ロシアの漁業会社が入ってくると確信している」などと主張していました。

安全操業は、ロシア当局による拿捕(だほ)などを避けるため、1998年に結ばれた日ロ両政府間の協定に基づき、期間や漁獲量、協力金などを毎年、交渉で決めたうえで、スケソウダラやホッケなどを対象に行われてきました。

ロシア外務省の発表に対し、日本側は一方的な履行停止は遺憾だとして、協定のもとで操業できるようロシア側と協議する考えを示しています。