今週の米国は月曜が「ジューンティーンス」の振替休日で4営業日となる中、21日のクリーブランド連銀総裁をはじめ米金融当局者の発言が目白押し。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の半期に1度の議会証言もあります。市場でリセッション(景気後退)懸念が強まる中、当局者はどんな景気認識を示すのか。サマーズ元米財務長官は、最新の四半期経済予測でも当局は「事態の深刻さを過小評価している」と批判しています。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
景気後退リスク
米クリーブランド連銀のメスター総裁は景気後退リスクが高まりつつあると指摘。「金融政策は実際よりもやや早い時期に方向転換できたはずだ。当局の行動が遅れたことも一因となり、リセッションのリスクは高まっている」と述べた。インフレについては、物価が抑制されていると確信できるようになるには、物価上昇圧力が緩和しているという「説得力ある論拠」を目にする必要があると指摘。インフレ率が当局目標の2%に戻るには2年程度かかると予想した。
不可避ではない
イエレン米財務長官は、物価は「容認し難いほど高い」とした上で、この状態が今年いっぱい続くと予想。ただ、新型コロナウイルス禍で国民の貯蓄が積み上がっているほか、労働市場は「極めて力強い」として、リセッションは「全く不可避というわけではない」と指摘。消費者がインフレを乗り切る上で助けとなり得るのであれば、ガソリン税の一定期間免除も「検討する価値はある」と述べた。
一段安に警戒感
2022年の金融市場はここまで、ウォール街の予想を裏切る形となっている。S&P500種株価指数は年初来で23%安、ビットコインは時価総額の半分超を失った。HSBCグローバルリサーチのマックス・ケトナー氏は、株式は他の資産クラスと比較してリセッションを十分に織り込んでいないと指摘。モルガン・スタンレーのマイケル・ウィルソン氏は、20%余り下げた米株だが、企業利益を巡るリスクをまだ完全には反映していないとみている。
上昇は短命か
ビットコインは18日に急落し、2020年12月以来の安値を更新した。同日まで12日続落と過去最長の連続安を記録した後、19日には上昇して2万ドルを回復したものの、市場ではこの反発局面は短命に終わるとの見方もある。フェアリード・ストラテジーズの創業者でマネジングパートナーのケイティ・ストックトン氏は、「モメンタムは極めてネガティブ」だとして押し目買いに注意を促した。
マクロン氏に打撃
19日投開票のフランス国民議会(下院、定数577)選挙の決選投票で、マクロン大統領を支える与党連合が過半数議席を失う見通しとなった。世論調査会社5社の予測の集計によると、与党連合は200-260議席にとどまる見通し。過半数には計289議席が必要。マクロン氏は自身の政策課題で妥協を強いられることになりそうだ。ジャンリュック・メランション氏が主導する左派連合が149-200議席で第2勢力になるとみられる。
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