ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる25日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)
ウクライナ北部 西部にミサイル攻撃
ウクライナの北部や西部の各地で25日早朝、複数のミサイル攻撃が確認されました。
このうち北西部の都市ジトーミルのスホムリン市長は25日に「私たちはけさ大きな爆発音で目が覚めた。市内は無事だったが街の周辺にある軍事施設が攻撃された」とSNSに投稿しました。
市長によりますと、航空機がベラルーシの方向から侵入し24発のミサイルを発射したということです。
またウクライナの北部を管轄する軍の司令部は「25日午前5時ごろ、チェルニヒウ地域で大規模なミサイル攻撃があった」とSNSに投稿しました。
軍によりますと確認されたミサイルは合わせて20発で、ベラルーシの方向から侵入した航空機や、地上から発射されたということです。
さらに西部リビウ州のコジツキー知事も「きょう午前4時、黒海からミサイル6発が発射されこのうち2発は迎撃したが、4発は軍事施設を攻撃した。4人がけがをした」と25日、SNSに投稿しました。
ロシア軍 リシチャンシクへの攻勢強める
ロシア軍は、東部2州のうちルハンシク州の完全掌握を目指し、ウクライナ側が拠点としてきたセベロドネツクと、川を挟んで隣接するリシチャンシクへの攻勢を強めています。
このうち、セベロドネツクからウクライナ側の部隊が撤退すると述べた地元知事は「ロシア軍は、セベロドネツクの工業地帯を攻撃した」とSNSに投稿し、24日も攻撃が続いたことを明らかにしました。
現在、ロシア軍はリシチャンシクの南方から部隊を進軍させ、ロシア国防省は24日、周辺の集落を相次いで掌握し、リシチャンシクを南側から封鎖していると主張しています。
イギリス国防省は25日に発表した分析で、ウクライナ側がセベロドネツクからリシチャンシクにかけて防衛線を再構築する可能性があるとして、引き続き攻防が続くという見通しを示しています。
米シンクタンク “リシチャンシクがウクライナ抗戦の中心に”
アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は24日、ウクライナ側の部隊は数日以内にセベロドネツクから撤退するという見方を示しています。
そのうえで「ロシア軍がセベロドネツクの掌握を試みてから、3か月以上がたち、兵力と装備が疲弊している。ウクライナ軍は、セベロドネツクが陥落したあともリシチャンシク周辺の防衛を維持し、ロシア軍を疲弊させ続けるだろう」と分析し、今後はリシチャンシクがウクライナ側の抗戦の中心になると指摘しました。
イギリス国防省 ロシア軍の総司令官更迭の見方示す
一方、イギリス国防省は、侵攻を続けるロシア軍の内情について「6月以降、ウクライナの戦争における主要な作戦指揮官から、数名の将軍が排除された可能性が高い」と指摘し、具体的には、
▽軍事侵攻の総司令官を務めていたとされる南部軍管区のトップ、ドボルニコフ氏や
▽空てい部隊の司令官が更迭されたという見方を示しました。
また、ウクライナ側がセベロドネツクからリシチャンシクにかけて防衛線を再構築する可能性があるとして、引き続き攻防が続くという見通しを示しています。
ルハンシク州知事「リシチャンシクを包囲しようとしている」
ルハンシク州のハイダイ知事は「ロシア軍は24日に、セベロドネツクの工業地帯を攻撃し、リシチャンシクに南から侵入して街を包囲しようとしている」と25日、SNSに投稿しました。
また「リシチャンシクは空爆され、セベロドネツクも砲撃を受けた。市内の『アゾト化学工場』やプラスチック工場などが攻撃された」として、セベロドネツクではウクライナ軍の撤退が始まる一方、24日の時点では依然として、市内への攻撃が続いていたことを明らかにしました。
ウクライナ非常事態庁 “すべての地雷除去に少なくとも10年”
ウクライナの非常事態庁の報道官は24日、ウクライナ国内のすべての地雷を除去するのに、少なくとも10年はかかるという見通しを明らかにしました。
そのうえで「戦闘が続いている地域の状況がわからないため、あくまでも楽観的な推定だ」と述べ、さらに時間がかかる可能性も示唆していて、戦闘の終結に向けた道筋が見えないなか、大量の地雷が市民生活に及ぼす影響も懸念されています。
ゼレンスキー大統領 “EU加盟候補国”の成果強調
ウクライナのゼレンスキー大統領は24日、新たな動画を公開し、EU=ヨーロッパ連合の「加盟候補国」の立場を認められたものの、実際の加盟には相当な時間がかかるとみられていることについて「この先に何が待ち構えているかではなく私たちが何をなしえたのか語ろう。それを忘れてしまうとこのステップの重要性を過小評価してしまうからだ」と述べ、成果を強調しました。
ロシア外相 欧米のウクライナへの兵器供与をけん制
ウクライナのレズニコフ国防相は23日、射程が長く、精密な攻撃が可能な高機動ロケット砲システム=ハイマースがアメリカから届いたことを明らかにし、欧米の軍事支援を弾みに攻勢に転じる構えを示しました。
こうした動きに対し、ロシアのラブロフ外相は24日、「EUとNATOがロシアと戦争を行うために現代の連合を結成している。われわれは非常に注意深く見ていく」と述べて欧米を強くけん制し、ロシアと軍事支援を加速させる欧米との対立はさらに深まっています。
米シンクタンク「今後も一進一退の攻防続く」
アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は23日、ルハンシク州のセベロドネツクなどをめぐる攻防でロシア軍の優位を認めつつも、「ウクライナ軍は、ロシア軍の侵攻を遅らせ、部隊に打撃を与えるという基本的な目標を達成している」と分析しています。
そのうえで「ロシア軍の攻撃は今後数週間、停滞し、ウクライナ軍に反撃の機会を与える可能性が高い。セベロドネツクを失うことは、ウクライナにとって損失だが、この戦いはロシアの決定的な勝利にはならないだろう」と指摘し、今後も一進一退の攻防が続くという見通しを示しました。
ロシア ルハンシク州完全掌握向けセベロドネツク攻撃
ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めてから24日で4か月がたち、ロシア軍は、東部2州のうちルハンシク州の完全掌握を目指してウクライナ側が拠点とするセベロドネツクへの攻撃を続けています。
ルハンシク州のハイダイ知事は24日、地元メディアに対して、「残念ながら、ウクライナ軍はセベロドネツクから撤退せざるをえない」と明らかにしたうえで、ロシア軍の部隊が隣のリシチャンシクにも向かっていると危機感を示しました。
国営のロシア通信は24日、親ロシア派の武装勢力の部隊の話として、セベロドネツクで市長代行が任命されたと伝え、ロシア側は一方的に行政の責任者を擁立して支配を進めようとしていることがうかがえます。
ロシア大統領 “食料危機 あくまでも責任は欧米側”
ロシアのプーチン大統領は24日、BRICS・新興5か国に加え、アジアや中東、アフリカなどの首脳も参加する拡大会合にオンラインで参加し、演説を行いました。
この中でプーチン大統領は、各国で食料やエネルギーなどの価格が急激に高騰していることについて「ロシアやベラルーシの肥料の供給を制限したり、ロシアの穀物の世界市場への輸出を困難にしたりしている」と述べ、アジアやアフリカなどの発展に深刻な影響を及ぼしていると批判しました。
そのうえで、ロシアがウクライナ南部の港を封鎖して穀物が輸出できないと各国から批判を受けていることについて、「ウクライナ軍が港の機雷を除去すれば穀物を積んだ船舶の自由な航行を保障する用意がある。ウクライナ側からの建設的な姿勢が足りない」と主張しました。
プーチン大統領は、世界的な食料などの価格高騰について「これはロシアによる特別軍事作戦の結果ではない。G7=主要7か国による無責任なマクロ経済政策の結果だ」とも強調し、あくまで責任は欧米側にあると主張しました。
G7外相 “食料危機の責任はロシアのウクライナ侵攻”
世界的な食料危機をめぐり、G7=主要7か国の外相会合が開かれ、食料危機の責任は、ロシアのウクライナ侵攻にあるという認識で一致し、これ以上、食料の輸出を妨げる行為をやめるよう、ロシア側に求めていくことなどを確認しました。
この中でG7各国は、世界的な食料危機は、ロシアがウクライナの穀物倉庫を爆撃したり、黒海を経由したウクライナからの食料輸出を妨げていることで引き起こされているもので、危機の責任はロシアにあるという認識で一致しました。
そのうえで、海路での食料輸出を妨げないようロシア側に求めていくとともに、陸路での輸出を目指すEU=ヨーロッパ連合の取り組みなどを支持することを確認しました。