[マドリード 29日 ロイター] – 北大西洋条約機構(NATO)首脳は29日、宣言で「本日、われわれはスウェーデンとフィンランドをNATO加盟国にするために招待することを決定した」と発表した。欧州の安全保障においてここ数十年で最大の転換点となる。
決定はマドリードで開催された首脳会議で行われた。声明によると、ロシアを「加盟国の安全保障に対する最も重要かつ直接的な脅威」として正式に扱うことにも同意した。
スウェーデンとフィンランドのNATO加盟を巡る各加盟国の議会での批准には1年を要するとみられるが、批准されれば両国は集団安全保障を定めたNATO条約第5条の適用を受けることになる。
NATOのストルテンベルグ事務総長は「フィンランドとスウェーデンを含むすべての加盟国を確実に守ることができるようにしていく」と述べた。
一方、NATOはスウェーデンとフィンランドを安心させるため、北欧地域での軍増強やバルト海での軍事演習および海軍によるパトロールの拡大を図る予定。
スペインのサンチェス首相は「われわれはプーチン大統領に『あなたが勝利することはない』との力強いメッセージを送っている」と述べた。
NATOはまた、10年ぶりとなる新たな戦略構想にも合意。これまでNATOの戦略的パートナーだったロシアをNATOの重要な脅威として位置づけた。
ベルギーのデクロー首相は、ロシアによる戦争でエネルギー価格および食料価格の上昇など影響が広範囲に及んでいるとし、ロシアのウクライナ侵攻は「われわれ西側諸国の生活に対する直接的な脅威」とした。
文書では中国も初めて課題として取り上げた。NATO首脳は、中国はロシアとは異なり敵対国ではないとしたが、ストルテンベルグ事務総長はロシアによるウクライナ侵攻を非難するよう中国政府に繰り返し呼びかけている。