Pedestrians are silhouetted as they cross a street in Chicago.Photographer: Bloomberg/Bloomberg

5月の米個人消費支出(PCE)が実質ベースで今年初のマイナスを記録し、高インフレが消費を弱めていることが浮き彫りになりました。米経済成長率の予想を引き下げるエコノミストが相次ぎ、今月中旬に3.5%近辺まで上げていた米10年債利回りは3%を割り込みました。フェデラルファンド(FF)先物市場が示唆する年内の利上げ回数(1回0.25ポイント)見通しも今月半ばの11回から現在は7回に減少。市場はインフレが誘発するリセッション(景気後退)を一段と意識しているようです。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

今年初のマイナス

5月のPCEはインフレ調整後ベースで前月比0.4%減と、今年初の減少となり、前月も下方修正された。インフレ調整前は0.2%増加。インフレ高進や米金融当局の利上げを背景に、景気の足取りが従来の想定よりも幾分弱くなっていることが示唆された。PCE価格指数は前年同月比6.3%上昇した。モルガン・スタンレーは現在、4-6月(第2四半期)の米国内総生産(GDP)伸び率を前期比年率0.3%と予想しているが、数日前には2%を見込んでいた。

08年並みの景気後退も

米金融当局はインフレの現実から目を背け、物価上昇を抑制する対応があまりに鈍かった結果、それがまだ起きていないとしてもリセッションを招く軌道上にあるとリサーチ・アフィリエイツのロバート・アーノット氏とキャンベル・ハーベイ氏が今月公表した論文で指摘した。両氏によれば、当局が後手に回ったことで、過剰反応する可能性が高まっている。2008年の金融危機に伴うケースと同じような深刻なリセッション入りの可能性があるという。「今の問題はマイナスの実質金利の長期化が自ら招いたものだ」と分析した。

パンデミック前の状態に

石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の主要産油国で構成する「OPECプラス」は、8月の生産を日量64万8000バレル引き上げることを承認した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に伴う需要減で2年余り前に生産を同970万バレル減らした後、段階的に回復させてきたが、これで完全に元の状態に戻る。今後の動きに関する協議は次回に持ち越した。ただ、多くのメンバーが計画通りの生産回復を実現できておらず、今回の決定は象徴的な意味合いが大きい。

米住宅市場に異変

米不動産市場で最も厄介な問題である在庫不足の解消に、住宅の減速が一役買っている。物件を巡って競争する買い手が減っている中、現在売りに出されている物件数は6月に前年同月比18.7%増加し、年間ベースでの伸びは2017年までさかのぼるデータで最大となった。不動産情報サイト、リアルター・ドット・コムがリポートで明らかにした。新たな売り手が市場に参入するペースは、新型コロナウイルス禍をきっかけとした住宅活況が始まる前よりも速くなっている。

規制権限を制限

米連邦最高裁は発電所の温暖化ガス排出に関して、環境保護局(EPA)が規制する権限を制限する判断を下した。石炭業界や共和党支持者の多い州の主張に沿った判断となり、バイデン大統領が掲げる気候変動対策のアジェンダ推進に打撃となる。6対3での今回の判断により、EPAがオバマ大統領時代に導入を試みたような広範な温暖化ガス排出削減措置を講じるのが困難になるとみられる。

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