【ワシントン=蒔田一彦】米国のブリンケン国務長官は13日の声明で、侵略を続ける露軍によってロシアに強制連行されたウクライナ人は「90万~160万人」に上るとの認識を示した。このうち約26万人が子どもだとし、強制連行は、民間人の保護を定めたジュネーブ条約に違反する「戦争犯罪だ」と非難した。

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 ブリンケン氏はロシアに対し、ウクライナの支配地域に設置した「選別収容所」や連行先の施設に外部の独立監視団を受け入れるよう求めた。選別収容所では、ウクライナ住民が反ロシア的かどうかを強制的に調べられている。

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は13日、韓国で開かれた国際会議にオンラインで参加し、ロシアに強制連行されたウクライナ人が「連絡手段や身分証明書を取り上げられるなどし、帰国が困難になっている」と訴えた。「選別収容所」には、数万人規模が足止めされているとの見方も示した。

 ウクライナ検察庁は13日、露軍の侵略開始以来、ウクライナの子ども1000人以上が死傷した明らかにした。同日朝までに349人の子どもが死亡し、652人以上が負傷したという。露軍の攻撃で被害を受けた学校などの教育施設は2126か所で、このうち216か所が全壊した。

 東部では、露軍とウクライナ軍の激しい攻防が続いている。タス通信によると、親露派武装集団幹部は13日、ドネツク州のシベルスク市に進入したと主張した。一方、ウクライナ軍参謀本部は同市の南方の都市などで露軍を撃退したと発表した。