[香港 14日 ロイター] – 中国では、マンションが完成しないことに抗議してローン返済停止をちらつかせる住宅購入者が増加。住宅融資の不良債権化が懸念されている。
アナリストは、住宅購入者が住宅ローンの支払いを停止すれば、銀行の住宅ローン不良債権比率が3─5倍上昇する可能性があると推計。住宅購入者の抗議デモにより、資金難の不動産セクターに対する銀行のリスクエクスポージャーが大幅に拡大すると見込んでいる。
報道やアナリストによると、購入者の抗議が起きた開発プロジェクトは今週初めは20件足らずだったが週半ばには100件に拡大。大都市の一部プロジェクトも影響を受けており、週末には200件に達するとの予想もある。
事態を重く見た当局は銀行と緊急会合を開催したとブルームバーグは報道。一部地方政府も今週、住宅購入者との会合を持ったとの情報もある。
ジェフリーズによると、住宅ローン債権が多い金融機関は、中国銀行、中国農業銀行、中国建設銀行、中国工商銀行の4大国有銀行。加えて中国版ゆうちょ銀行の中国郵政儲蓄銀行、中国招商銀行、興業銀行という。
中国農業銀行、中国建設銀行、興業銀行、中国郵政儲蓄銀行など各行は14日、未完成または遅延している住宅プロジェクトに関連する融資債権の規模は相対的に小さく、リスクは管理可能と説明した。
<影響受ける住宅ローンは2200億ドル>
ANZは報告書で、最大1兆5000億元(2200億ドル)の住宅ローンが中国の未完成住宅プロジェクトに関連していると指摘した。
銀行は先行販売されたマンションを担保として所有しているが、その資産は未完成であるため、損失を被る可能性が高い。完成を待てば、不動産価値の大幅な下落リスクにさらされる可能性がある。
龍洲経訊(ガベカル・ドラゴノミクス)のアナリスト、張暁曦氏は「現在の市況でマンションを売るのは難しい。住宅競売の大波が来れば、価格は暴落するだろう。最悪の場合、社会の安定と金融の安定の両方が危うくなる」と述べた。
あるファンドマネジャーはまた、銀行が未完成の資産を差し押さえても戻ってくる資本はゼロになると指摘。2007年に始まった米国の危機を引き合いに「サブプライムよりひどい」と述べた。