[台北 14日 ロイター] – 半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が14日発表した第2・四半期決算は76.3%の増益、36.6%の増収となった。長期的な需要に自信を示し、通期売上高見通しを引き上げた。世界的な半導体不足で需要が持続した。

第2・四半期の純利益は2370億台湾ドル(79億4000万ドル)。リフィニティブがまとめたアナリスト予想の平均(2191億3000万台湾ドル)を上回った。前年同期は1344億台湾ドル。増益率は8四半期ぶりの大きさとなった。

売上高は181億6000万ドル。TSMCの事前予想は176億─182億ドルだった。

第3・四半期の売上高も増加を予想。前年同期の148億8000万ドルから198億─206億ドルに増えると予想した。

取引先である米アップルの「iPhone13」は世界的なインフレや景気後退懸念にもかかわらず、引き続き販売が好調。第5世代(5G)通信網や人工知能(AI)に利用される高性能コンピューティング(HPC)半導体も売り上げを伸ばしている。

魏哲家最高経営責任者(CEO)は決算会見で、長期的な半導体需要は依然盤石と述べ、今後の下降サイクルは2008年のような規模にはならないだろうと予測。同社の組立工場の設備稼働率は来年、好調を維持すると予想した。

22年の増収率予想は26─29%から30%台半ばに引き上げた。

ただ原材料コストが上昇する中、設備投資は400億─440億ドルという従来予想の下限付近になるとの見通しを示した。

家電製品向け半導体の需要減速を示唆し、顧客が向こう数四半期に半導体在庫を圧縮し始めると予想。ただ、魏CEOは「2年間にわたるパンデミックによる在宅関連需要を受け、このような調整は合理的だとわれわれは考えている」と述べた。

TSMCの株価は今年に入ってから約23%下落し、時価総額は4083億ドルとなっている。14日の株価は1%上昇した。