[北京 15日 ロイター] – 第2・四半期の中国経済は前四半期から予想以上に縮小し、前年同期に比べた成長も大きく減速した。新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)の産業活動や個人消費への打撃が鮮明になった。 

国家統計局が15日発表した第2・四半期の国内総生産(GDP)は前期比では2.6%減。市場予想(1.5%減)を上回る減少となった。第1・四半期は1.4%増に改定された。

前年比では0.4%増と、第1・四半期(4.8%増)から大きく減速し、市場予想の1.0%増も下回った。2020年第1・四半期の6.9%減を除けば、1992年の統計開始以降で最低の伸びとなった。

上海市経済は第2・四半期に前年比13.7%のマイナス成長となった。北京市は2.9%のマイナス成長。

上半期のGDPは前年比2.5%増加した。

コロナ関連規制の多くが解除され、6月の統計は回復の兆候を示した。ただ中国政府はゼロコロナ政策を堅持しており、足元で感染が再拡大していることもあり、アナリストは景気が急回復するとは予想していない。

野村のアナリストは「市場は下半期の経済成長に過度に楽観的になっている」と指摘した。

<6月の統計には明るさ>

6月の鉱工業生産は前年比3.9%増加し、5月の0.7%増から伸びが加速した。ただ市場予想の4.1%増は下回った。

6月の小売売上高はコロナ規制の緩和を受けて前年比3.1%増加し、5月の6.7%減からプラスに転換した。市場予想は横ばいだった。4カ月ぶりの高い伸びとなった。上海のロックダウン解除が背景。

WPICマーケティング+テクノロジーズのジェイコブ・クック最高経営責任者(CEO)は「小売売上高の伸びはロックダウンが主に消費を圧迫したことを示している」と分析した。その上で「今後のロックダウンはそれほど厳しいものとはならない見通しで、下半期に消費の回復が続くと楽観している」と述べた。

1─6月の固定資産投資は前年比6.1%増。予想は6.0%増、1─5月は6.2%増だった。

主要都市の新築住宅価格は、6月は前年比0.5%下落。住宅ローン金利の引き下げなど住宅購入支援策が導入されているが、5月(0.1%下落)よりも悪化した。

不動産投資も振るわない。上半期は前年比5.4%減少で1─5月(4.0%減)よりも落ち込み幅が拡大した。

中国人民銀行(中央銀行)は13日、実体経済への政策支援強化を表明。流動性を適度に潤沢な水準に維持し、企業の資金調達コストを引き下げるよう金融機関に働きかける考えを示した。景気支援に取り組むに伴い、全体的な債務水準が一時的に増加するとの見込みも示した。15日は流動性供給措置の中期貸出制度(MLF)をロールオーバーした。

アナリストは、米連邦準備理事会(FRB)が積極的な利上げを進める中での政策緩和は資本流出を引き起こすリスクがあり、人民銀行の対応余地は限られているとみている。消費者物価が上昇していることも金融緩和に足かせとなる可能性がある。

<経済成長目標の達成困難か>

野村のアナリストは「下期の成長について、市場は楽観的になり過ぎている」との見方を示した。

第一生命経済研究所の主席エコノミスト、西濵徹氏は5─6月で最悪期は過ぎたが、中国経済はスタグフレーションの危機に瀕していると指摘。景気後退の可能性は排除できるとの見方を示した。

政府が景気刺激策を今後導入する公算が大きいが、利下げはインフレを促すためハードルが高いという。

6月の統計には明るさが見られたが、アナリストは急激な景気回復を予想していない。ゼロコロナ政策の堅持、不動産市場の低迷、世界経済の見通し悪化が背景。

雇用情勢も依然として脆弱だ。6月の全国調査ベースの失業率は5.5%と、5月の5.9%から改善したが、若者の失業率は過去最高の19.3%と、5月の18.4%から悪化した。

6月の不動産投資は9.4%減と、5月の7.8%減から減少ペースが加速した。6月の不動産販売は18.3%減。

キャピタル・エコノミクスは「今年の経済成長率を5.5%前後とする政府目標の達成は難しいだろう。下半期に急激な加速が必要になるが、その可能性は低い」と述べた。