[ローマ 20日 ロイター] – イタリアのドラギ首相は20日、議会上院で演説し、連立与党の支持を得られれば首相に留まる用意があると表明、連立政権に結束を呼びかけた。

ドラギ氏は先週、物価対策を巡る信任投票に連立与党の左派「五つ星運動」が参加しなかったことを受けマッタレッラ大統領に辞任を申し出たが、大統領は拒否し議会で状況を明確にする演説をするよう求めていた。

ドラギ氏は演説で、ウクライナ戦争、社会格差、物価上昇などさまざまな問題に言及。ウクライナ危機はイタリアが欧州連合(EU)と主要7カ国(G7)でいかに中心的役割を果たせるかを明らかにしたと指摘した上で、イタリアはどのように結束するか理解している時は強固だが、残念ながら各政党は分裂のほうに傾いており、先週の信任投票は連立政権に対する信頼の失墜を象徴したと述べた。

結束し続けることを望むならば、唯一の方策は連立の立て直しで、国民はそれを望んでいると語った。

上院はドラギ氏の演説について数時間討議する。信任投票の結果は1730GMT(日本時間21日午前2時半)までに明らかになる見通し。21日には下院でも審議が行われる。

ドラギ氏は五つ星運動の支持がなくても政権を維持できるが、幅広い政党から成る挙国一致政権を率いることが当初の自身の使命であり、五つ星運動の支持がない状態で政権は運営できないと主張している。

ただ、右派の「同盟」と「フォルツァ・イタリア」は五つ星運動との連立維持に否定的な考えを示している。

ドラギ氏が政権運営を断念する場合、マッタレッラ大統領が9月か10月の総選挙実施を表明する公算が大きい。秋季は通常、予算編成の時期に当たり、第二次世界大戦後、秋に総選挙が行われたことはない。