中国の不動産開発会社と取引しているサプライヤー企業が取引相手から支払いを受けていないことを理由に銀行ローンの返済を拒んでいる。ローンを組んで買った住宅が未完成だとして住宅ローンの返済を拒否する消費者の動きに加え、不動産セクターで融資返済のボイコットが広がりつつある。
中国メディアの財新は19日、サプライヤー1社から受け取った文書を基に不動産業界のサプライヤー数百社が中国恒大集団などの開発会社から資金回収できず、支払いを行う余裕がないと訴えていると報じた。
中国ミドルクラスの反乱、持ち家の不良資産化広がれば「政治危機」も
中小企業とサプライヤー業者から成る団体は、資金難の恒大から支払いを受けられず手持ち資金が枯渇したため、債務の返済を止めるとする書簡をオンライン上で発表。
この団体は恒大の湖北省部門に送付した15日付書簡で「全てのローンと延滞金の支払いをやめ、クレジットや商業手形での支払い要求を拒否するよう同業に助言することを決めた」とし、 「サプライチェーン危機の連鎖反応で生じる結果については、恒大が責任を負うべきだ」と主張した。
恒大にコメントを求めたが、今のところ回答はない。湖北省の省都、武漢市の住宅当局メディア担当部署に20日午前に電話したが返答はなかった。
救済基金
住宅購入者のローン返済ボイコットに直面している河南省の省都、鄭州市は、資金不足の開発会社が住宅プロジェクトを完工できるよう救済基金を設立する。
河南省の不良債権処理会社、河南資産管理はウェブサイトに19日掲載した資料で、鄭州市の不動産セクターを対象とした救済基金を政府系の不動産開発企業、鄭州地産集団と共同で設立することを発表した。
市当局は不動産危機への対応に追われており、同基金はこうした問題に対応する中国初の公的救済措置。上海に本社を置く易居(中国)企業の研究院がまとめたデータによれば、住宅ローン返済拒否通告は鄭州が最多。
ドル建てジャンク債
中国のドル建てジャンク(投機的格付け)債は同日、3月に付けた過去最安値付近で推移している。中国の不動産危機が一段と深刻化し、開発会社のみならず、サプライヤー企業や銀行をも巻き込みつつあり、世界2位の経済大国が抱える住宅問題に歯止めが利かなくなるリスクが浮上している。
不動産会社が主な発行体となっている中国の高利回りドル建て債の価格は午前の取引でほぼ変わらず。中国不動産セクターに連動するブルームバーグの指数は19日、1.8%下げ額面1ドルに対し57セントと、4カ月前に付けた最安値に迫った。
原題:China’s Loan Boycott Spreads to Property Industry Suppliers、China’s Mortgage Boycott Capital Plans Property Bailout Fund (2)、China Junk Bonds on Brink of Record Low as Property Woes Grow(抜粋)