[東京 20日 ロイター] – 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会は20日、薬事分科会と医薬品第2部会の合同会議で塩野義製薬が開発した新型コロナウイルスの経口治療薬「ゾコーバ」の緊急承認を見送り、継続審議とした。

ゾコーバは国産初の新型コロナ軽症・中等症向けの飲み薬として期待されていたが、有効性などのデータが不十分と判断された。

塩野義製薬は、ゾコーバが薬事承認されれば、日本政府に約100万人分を販売することで基本合意している。

国内で現在承認されている経口治療薬は、米メルクの「モルヌピラビル」と米ファイザーの「パキロビッド」の2種類。

今回の承認審査は、5月に創設された「緊急承認制度」に基づく。同制度は臨床試験の最終結果が出る前でも、いくつかの要件を満たし、臨床試験で「有効性が推定」され、「安全性が確認」できれば承認される。

今年6月に開催された審議会でも、有効性などについて委員の意見が分かれ、「さらに慎重に議論を重ねる必要がある」との見解が示され、承認判断が先送りになっていた。安全性については、塩野義製薬が、動物実験での胎児の骨格形成異常が確認されたことから「妊婦への使用は推奨されない」との考えも示していた。