[ブリュッセル 20日 ロイター] – 欧州連合(EU)欧州委員会は20日、欧州連合(EU)諸国が来年3月までガスの使用量を15%削減する自主目標を提案した。ロシアが欧州へのガス供給を停止した場合、法的拘束力を持つ可能性がある。

この目標は、加盟各国が8月から来年3月までのガスの使用量を、2016年から21年の同時期の平均使用量から15%削減することを目指すもの。欧州委は、EUで深刻なガス不足が生じる可能性がかなり高いと判断した場合、この目標を義務化することもできる。

この提案は、加盟国の過半数の賛成が必要。26日のエネルギー相会合での承認を目指し、22日の大使級会合で討議する予定。

フォンデアライエン欧州委員長は「ロシアはわれわれを脅迫している。ロシアは兵器としてエネルギーを使っている」と指摘。ロシアがガス供給を部分的、もしくは全面的に遮断した場合に備え「欧州は準備を整える必要がある」と述べた。

ただ、ロシアが4月にガス供給を停止したことを受けガス貯蔵量を98%に高めたポーランドなどはこのような計画に反対。一方で、貯蔵量が47%程度のハンガリーのような国もある。

欧州委のカドリ・シムソン委員(エネルギー担当)は、ロシア産ガスの供給が数カ月にわたって減少し、価格が高騰しているにもかかわらず、各国のガス需要は合計でわずか5%しか削減されておらず、一段の削減が緊急的に必要とした。

欧州委は、ガス使用の抑制に向けた各国政府の対策として、ガス使用量を削減した産業への補償入札や公共施設での冷暖房温度の制限を提案。また、各国政府はガス供給を巡る緊急時に閉鎖させる産業の順位を決めるべきとした。

欧州委によると、一般家庭は「保護された消費者」に分類され、こうした抑制の対象から外れるという。