注目の米連邦公開市場委員会(FOMC)が始まりました。今回の布陣は2013年以来のフルメンバー、パウエル議長を含む12人で金融政策を討議します。ちょうど半数の6人が女性、このうちリサ・クック連邦準備制度理事会(FRB)理事とボストン連銀のスーザン・コリンズ総裁の2人は黒人。男性のフィリップ・ジェファーソンFRB理事も黒人です。多様性を重視するバイデン政権の方針が反映されたとも言える顔ぶれ。インフレを抑え込みながらも深刻なリセッション(景気後退)を回避するという離れ業をやってのけるには、多様な視点に基づいたトップクラスの知見が必要になるのかもしれません。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
27日発表か
クレディ・スイス・グループはトマス・ゴットシュタイン最高経営責任者(CEO)の退任を近く発表する構えだと、米紙ウォールストリート・ジャーナルが報じた。同紙によれば、退任の時期は未定だが、早ければ四半期決算を発表する27日にもCEO退任を明らかにする可能性がある。ゴットシュタイン氏は2020年2月に、ティージャン・ティアム氏の後任としてCEOに就任。就任当初は経営手腕を評価されたが、グリーンシル・キャピタルに関連した100億ドル(現在のレートで約1兆3700億円)規模のサプライチェーンファイナンス破綻と、アルケゴス・キャピタル・マネジメントのポジション破綻に伴う55億ドルの損失で評価を落とした。英紙フィナンシャル・タイムズはクレディ・スイスがウルリッヒ・ケルナー氏をCEOに起用する方向だと報じた。
瀬戸際へ
国際通貨基金(IMF)の世界経済見通し(WEO)によると、今年の世界成長率は3.2%に減速する見込み。23年については、一連の利上げによる「痛手」が予想されるとし、世界成長率が2.9%に減速するとの見通しを示した。IMFチーフエコノミストのピエールオリビエ・グランシャ氏は、「見通しは4月以降、著しく暗くなった。世界は近くリセッションの瀬戸際に立たされるかもしれない。前回の不況からわずか2年しか経過していない」とブログ投稿でコメントした。
欧州の冬
ウクライナを巡る対立が続く限り、ロシアは欧州向けのガス供給を最小限に絞り続ける公算が大きい。ウクライナ侵攻でロシアに厳しい姿勢を取る欧州連合(EU)に対し、圧力を強めると、ロシア政府首脳に近い関係者が明らかにした。ロシア大統領府と国営ガス会社ガスプロムが新たな理由を見つけては供給を低水準に抑え、欧州の顧客が冬に備えた備蓄を確保するのを妨害するだろうとこの関係者らは予想する。EU当局者は既に、ロシアの供給が再開しなければ経済に大きな障害が生じると警告し、消費者にはガスの使用を削減するよう呼び掛けている。
侵入リスク
米連邦準備制度の内部情報を得ようと、中国が職員への働き掛けを含め広範な工作活動をしていると指摘した報告書を米共和党のロブ・ポートマン上院議員が26日公表した。上海を訪れた連銀職員が中国当局者に拘束された事例もあったとしている。同議員は声明で、「主要な敵対国の一国からのこうした脅威に対抗するため、連邦準備制度に連邦捜査局(FBI)と協力し対策を強化するよう促す」と表明した。パウエルFRB議長は同議員宛ての書簡で、報告書の「主張と示唆に強い懸念」を抱いたとコメントし、センシティブな情報にアクセス可能な職員の「包括的」な身辺調査を行うと約束した。
見通し悪化
米民間調査機関のコンファレンスボードが発表した7月の米消費者信頼感指数は95.7と、2021年2月以来の水準に低下した。低下は3カ月連続。高インフレが続く中、経済見通しが暗くなったことが背景にある。現況指数は21年4月以来の低水準。今後6カ月の見通しを反映する期待指数は65.3と、13年以来の水準に小幅低下した。コンファレンスボードの景気指数担当シニアディレクター、リン・フランコ氏は「今後6カ月もインフレと追加利上げが個人消費と経済成長にとって引き続き強い向かい風になる可能性が高い」と予想した。
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