[ワシントン 1日 ロイター] – 米国は週末にアフガニスタンで無人機による空爆を実施し、国際武装組織アルカイダ最高指導者のザワヒリ容疑者を殺害した。アルカイダに打撃を与える作戦では、2011年に当時の指導者ウサマ・ビンラディン容疑者を殺害して以降最大の成果を上げた。
ザワヒリ容疑者は何年も潜伏しており、居場所を突き止め殺害する作戦はテロ対策および情報機関による「慎重で辛抱強い」取り組みが結実したと、米政権高官は記者団に語った。
高官は匿名を条件に、作戦の詳細を次のように語った。
* 米政府はザワヒリ容疑者を支援するネットワークがあると数年前から推測し、米軍のアフガン撤退以降の過去1年間、同国にアルカイダが潜伏する手がかりを探してきた。
米当局は今年、ザワヒリ容疑者の家族がカブールの隠れ家に移ったことを確認し、その後同じ場所にザワヒリ容疑者がいることを突き止めた。
* その後数カ月で情報当局はザワヒリ容疑者を正確に特定したという確信を深め、4月上旬には政権高官へのブリーフィングを開始。サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)がその後、バイデン大統領に報告した。
ザワヒリ容疑者はカブールの隠れ家に継続して潜伏していたとみられ、数回にわたりバルコニーにいるのが確認された。殺害された場所もバルコニーだった。スライドショー ( 2枚の画像 )
* 当局者は隠れ家の構造などを調べ、居住者を精査し、米国がザワヒリ容疑者の殺害作戦を建物の安全性を脅かすことなく、民間人や容疑者の家族へのリスクを最小限に抑えながら、自信を持って実施できることを確認した。
*7月1日、バイデン大統領はホワイトハウスのシチュエーションルーム(作戦司令室)でバーンズCIA長官を含む政権幹部から作戦案について説明を受けた。
* 省庁をまたいだ上級弁護士チームがこれまでに集まった情報を精査し、ザワヒリ容疑者がアルカイダの指導者であり続けているという事実に基づき、合法的な標的であることを確認した。
7月25日、大統領は主要閣僚や顧問との会合で最終ブリーフィングを受け、ザワヒリ容疑者の殺害が米国とタリバンの関係に与える影響などを議論。バイデン氏は参加者の意見を求めた後、民間人が犠牲になるリスクを最小限に抑えるという条件で「精密に調整された空爆」を許可した。
* 作戦が実施されたのは米東部時間7月30日午後9時48分(日本時間31日午前10時48分)で、無人機から空対地ミサイル「ヘルファイア」を発射した。