[ヌルスルタン/ロンドン/ワシントン 3日 ロイター] – 石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」は3日に開催した閣僚級会合で、9月に日量10万バレルの追加増産を行うことで合意した。

声明で、余剰生産能力は限られており、深刻な供給面の混乱に対応するために非常に慎重に活用する必要があると指摘。石油セクターへ投資が慢性的に不足しており、2023年以降の需要増に対応する適正な供給に影響が及ぶとした。

OPECプラスは9月5日に次回会合を開催する。

OPECプラスの関係者は匿名で、ロシアと協力する必要性を強調。「(今回の合意は)米国を落ち着かせるものだ。またロシアを動揺させるような大幅なものではない」とした。

合意を受け、北海ブレント原油先物は約2ドル上昇し、1バレル=101ドル近辺で推移した。

バイデン米大統領が先の中東歴訪で、サウジアラビアに対し増産を要請したにもかかわらず、増産幅が10万バレルにとどまったことについて、ユーラシア・グループのマネジング・ディレクター、ラード・アルカディリ氏は「意味がない」ほどの小幅増産で、「政治的ジェスチャーとしてはほぼ侮辱的」な増産だとした。

OPECのデータによると、日量10万バレルの増産は1982年の生産割り当て開始以来で最小の増産幅の一つ。

一方、米国務省でエネルギー安全保障担当シニアアドバイザーを務めるアモス・ホッホシュタイン氏は3日、CNNのインタビューで、OPECプラス閣僚級会合での合意について「正しい方向への一歩」と評価した上で、国内の燃料費には大きな影響を与えないとし、バイデン政権は燃料価格の引き下げを引き続き推進すると述べた。

また、ロシアのノバク副首相は合意後、ロシアのニュース専門チャンネル「ロシア24」に対し、世界の石油需要はパンデミック(世界的大流行)前の水準をほぼ回復していると言及。物流チェーンや新型コロナウイルスの感染再拡大を巡り不確実性が残っているとし、ロシアとサウジアラビアは10月に政府間会合を開催するとした。