[東京 4日 ロイター] – 野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミスト(元日銀審議委員)は4日、ペロシ米下院議長の台湾訪問で米中間の緊張が高まるなか、仮に台湾有事が発生すれば、半導体の供給途絶などで日本の国内総生産(GDP)が約1.4%ポイント下押しされるとの試算を公表した。円高が加わると、さらに下押しする可能性も指摘している。
木内氏は日本が2021年に輸入した半導体の46.7%が台湾製であったことなどから、台湾から日本への輸入が途絶する場合、台湾製の高性能半導体を用いていると推察される、自動車部品、玩具(ゲーム機など)、パソコン、携帯電話、家電、液晶パネル、医療用機器、ロボットの8分野で製品の一部が作れなくなると仮定。8分野の生産がそれぞれ33%減少する場合を考えると、日本の名目GDPは0.48%押し下げられると試算。日本から台湾向けの輸出が停止する影響と合わせてGDPの押し下げ効果は年間1.38%と計算している。
金融市場で仮に円高が10%進む場合には、日本のGDPは1年間で0.46%減少するとし、上記の数値と合計すると、台湾有事で日本のGDPは1.84%減少すると試算している。