【ワシントン時事】米上院は7日、気候変動対策や財政赤字削減を柱とする「インフレ低減法案」を賛成多数で可決した。法案は今後の下院通過が確実視されており、バイデン大統領の署名を経て成立する見通し。支持率が低迷するバイデン氏は、11月の中間選挙に向けて物価高対策の「成果」で弾みをつけたい考えだ。

民主、両院死守へ崖っぷち 経済・外交で負の連鎖―米中間選挙まで3カ月

 採決結果は賛成51票、反対50票。上院は与野党の勢力が伯仲しており、議長を兼ねるハリス副大統領が投じた1票で決まった。法案の審議は6日始まったが、野党共和党が同日深夜から7日午後にかけて修正案を連発。決着までに丸1日かかった。

 バイデン政権は当初、1兆7500億ドル(約236兆円)規模の「ビルド・バック・ベター(より良い再建)」法案の実現を目指した。しかし、インフレを助長しかねない巨額支出には共和党だけでなく、与党民主党の一部も反対。上院通過のめどが立たなくなっていた。

 インフレ低減法案は規模を大幅に縮小。「米史上最大」とされる3700億ドル相当の気候変動対策は確保した上で、処方薬の価格引き下げなど、国民の不満が大きい歴史的な高インフレへの対応を重視した。