メモリーチップメーカーで米最大手のマイクロン・テクノロジーは、6-8月(第4四半期)の売上高が従来の会社予想レンジの下限、ないしそれを下回る可能性があるとの見通しを示した。顧客が在庫削減に動いているためだとしている。半導体メーカーからはこのところ、需要の急減速を示唆する動きが相次いでいる。
マイクロンは9日の規制当局への届け出で、半導体メモリーの出荷は9-11月(第1四半期)も減少が続き、「売上高と利益率の顕著な減少が継続する」と説明。この日の米株式市場で同社の株価は一時6%安となり、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)も6%近い下落となった。
半導体業界に吹く逆風は、主にパソコン用チップを製造するメーカーが受けている。新型コロナ禍に伴う各種行動制限が終わりを迎える一方、インフレ高進が家計を圧迫する中、消費者のパソコン需要は急速に減退しつつある。
マイクロンが最新の見通しを示したのはわずか1カ月余り前だが、それ以降、同社製半導体の市場は悪化している。
サンジェイ・メロートラ最高経営責任者(CEO)はブルームバーグテレビジョンのインタビューで「前回の発表時と比較すると、消費者向けだけでなく、データセンター用や産業用、自動車用など市場の他の部分にも調整が広がっているため、需要の一段の減少がある」と述べた。
マイクロンは6月末、第4四半期の売上高を約72億ドル(約9730億円)と予想。当時のアナリスト予想の平均(91億4000万ドル)を大きく下回っていた。
マイクロン、6-8月見通しは市場予想下回る-消費者が支出抑制 (1)
今回の届け出でマイクロンは、「マクロ経済面の要因とサプライチェーンの制約により、顧客の間で在庫調整の動きが広がっている」と説明。6-8月と9-11月は「厳しい市場環境」が予想されると付け加えた。
バイデン米大統領はこの日、520億ドル(約7兆200億円)の補助金・奨励金を盛り込んだ国内半導体業界支援法案に署名し、同法案は成立した。バイデン氏は署名式で「米国で一世代に一度の投資」だと強調した。
一方で、マイクロンは今年は新工場などへの投資を削減する予定だとし、設備投資額は前年比で「大幅に減少」するとの見通しを示している。同社とインテルは共に、長期的な拡大計画にはコミットしているものの、収益性を守り過剰供給を避けるために短期的な調整を行っていると説明している。
原題:Micron Warns ‘Challenging Market’ Means Sales May Miss Forecast(抜粋)