[10日 ロイター] – 米労働省が10日に発表した7月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前年同月比8.5%上昇と、伸びは約40年ぶりの伸びとなった6月の9.1%から鈍化した。ガソリン価格が約20%下落したことが背景にある。
市場予想は8.7%上昇だった。
前月比では横ばい。市場予想は0.2%上昇だった。6月は1.3%上昇していた。
ガソリン価格の急落により上昇せず、過去2年間にわたってインフレ高進が続いていた中で、安堵すべき顕著な兆しとなった。ただ、米連邦準備理事会(FRB)が9月も大幅利上げを続けるべきかどうかを検討している中、基礎的インフレ圧力は依然高止まりしていることも示された。
キャピタル・エコノミクスの米国担当チーフエコノミスト、ポール・アッシュワース氏は「FRBが求めているほどのインフレの大幅な低下には至っていない。しかしこれは出発点で、今後数カ月に物価上昇圧力緩和の兆候がより幅広く確認されると予想する」と述べた。
米金利先物市場では9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.75%ポイント利上げの観測が後退し、0.5%ポイント利上げ予想が高まった。
7月の食品価格は前月比1.1%上昇。6月は1.0%上昇で、高止まりしている。
変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は0.3%上昇と、10カ月ぶりに低い伸びとなった。6月は0.7%上昇していた。しかし、前年同月比は5.9%と、伸び率は6月と同じだった。
家賃・帰属家賃は6月とほぼ同じペースで上昇。住宅費はコアCPIの約40%のウェートを占める。
エネルギー関連を除くサービスは前年比5.5%上昇と、前月と同様の上昇ペースが続いた。
オックスフォード・エコノミクスの米国チーフエコノミスト、キャシー・ボストヤンシック氏は「CPIは心強い内容だったが、とりわけサービス部門でのインフレ圧力は引き続き強く、家賃の上昇も続いている」と述べた。
また、クリーブランド連銀がまとめた消費者物価に関する指標の7月のCPI中央値は6.3%上昇と、前月の6%から伸びが加速した。
バイデン大統領は、インフレ鈍化の兆しが見えているとしながらも、国民の生活を楽にするためになお多くの取り組みが必要との考えを示した。