【ワシントン時事】今月初めに台湾を訪問したペロシ米下院議長に同行した日系のマーク・タカノ下院議員(61)は11日、時事通信のインタビューに応じ、訪台をめぐって「中国人は現実的な威嚇を試みたが、われわれは受け流し、成功しなかった」と述べた。「台湾の現状は危機にひんしている」とも訴えた。
台湾海峡の現状変更に「口実」 米議長の訪問利用、弱腰見せられず―中国
一問一答は次の通り。
―訪台見送りを求める圧力はあったか。
中国の反発に関して論争があったのは承知している。私自身が判断し、ペロシ議長に訪台の日程を順守するよう促した。見送れば、中国が米議員の外遊日程を左右できるニューノーマル(新しい常態)が成立してしまうからだ。
―マレーシアから台湾に移動中、実際に中国の威嚇はあったか。
中国人は現実的な威嚇を試みてきた。われわれはそれを受け流し、成功しなかった。これは明らかに「脅しの戦術」で、中国の振る舞いを容認してはならない。これ以上は詳しく言えない。
―台湾の現状は維持されていると言えるか。
危機にひんしている。中国は段階的に威嚇を拡大し、周囲にニューノーマルを認めさせようとしている。例えば「われわれは日本の排他的経済水域(EEZ)にミサイルを撃ち込むことができる。EEZがあることも認めていない」と。こうした姿勢を許してはならない。
―台湾有事への米国の軍事介入をあいまいにする戦略は機能していると思うか。
「あいまい戦略」を変える必要はないと思う。同時に台湾が国際社会から孤立することを許さないと明確にすべきだ。台湾の繁栄と民主主義は中国の発展に貢献してきたと主張し続ける。そのためにも米国、日本、韓国の同盟網を強固にしなくてはならない。
―日韓関係の改善を期待できるか。
日韓関係が修復すれば中国の計算に多大な影響を与える。韓国の尹錫悦大統領は正しい行動を取ろうとしている。ただ、尹氏は政治的な力を得るために時間が必要で、すべてのパートナーは理解する必要がある。
◇マーク・タカノ氏略歴
マーク・タカノ氏 1960年、カリフォルニア州リバーサイド生まれ。祖父の1人は日系1世。ハーバード大卒業後、公立学校の英語教員などを経て2012年の下院選で民主党から出馬し初当選。現在は退役軍人委員長などを務める。同性愛者であることを公表して当選した最初の非白人系米国人として知られる。