米連邦捜査局(FBI)によるトランプ前米大統領の邸宅捜索に関連し、フロリダ州にある米連邦地裁の判事は12日、捜索令状や押収品のリストを開示した。3回目の大統領選出馬を近く表明する可能性もあるトランプ氏が、公文書や国防に関する情報などの扱いを巡り捜査を受けていることが明らかになった。

  トランプ氏がフロリダ州で所有する邸宅「マールアラーゴ」への8日の家宅捜索で押収されたものには、米政府の最高機密文書なども含まれていた。当局はスパイ防止法違反などの疑いについて調べを進めていることを示唆した。

  家宅捜索を巡ってはトランプ氏と共和党の同氏支持者らがすぐさま批判し、バイデン政権による政治的動機があると指摘。トランプ氏と一部の保守派コメンテーターは、FBIの捜査官が捜索の際に証拠を仕込んだ可能性があるとの陰謀説まで持ち出していた。 

  ホワイトハウスは、バイデン大統領が捜索について事前に知らされていなかったと説明している。

  ガーランド司法長官は11日、トランプ氏支持者からの非難に対応するため捜索令状の開示を判事に求めた。トランプ氏も同日夜に開示を支持するとソーシャルメディアに投稿した。

  当局は三つの連邦法違反の容疑で調査している。一つ目がスパイ活動法の一部である国防に関する情報の持ち出しや悪用。二つ目が政府記録の秘匿や損傷、破壊。三つ目が連邦捜査や当局の権限下で行われる「いかなる事案に対する適正な措置」を妨害するための記録の偽造や損傷、隠蔽(いんぺい)だ。

  捜索令状で言及された三つの容疑は全て重罪に当たる。妨害で有罪となれば最長20年の禁錮刑、スパイ防止法に違反したと判断された場合は最長10年の禁錮刑に処せられる。

原題:Trump’s Seized Documents Point to Probe Into Handling of Secrets(抜粋)