[26日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は26日、米ワイオミング州ジャクソンホールで開かれた経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で行った講演で、成長鈍化などの「痛み」を伴ったとしても、インフレが抑制されるまで「当面」金融引き締めが必要という見解を示した。
市場関係者の見方は以下の通り。
●9月利上げ幅巡る議論継続へ=BMO
<BMOキャピタル・マーケッツの米金利戦略主任イアン・リンジェン氏>
市場の予想に沿う内容だった。9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げ幅が入手されるデータ「全体」に左右されるという発言は、1)当然だが、利上げは実施される、2)7月のインフレデータは0.75%ポイント利上げの可能性を排除するには不十分という点において重要だ。つまり、少なくとも9月13日に発表される8月の消費者物価指数(CPI)を確認するまで、9月会合での0.75%もしくは0.50%利上げの議論は継続するだろう。
制限的な金融政策が「当面」必要という発言は、2023年終盤の利下げ予想をけん制するFRBの姿勢を反映し、FRBが利上げ完了後、高水準の金利を異例なほど長期間維持するという考えと一致している。しかしそれは23年の問題だろう。
●低成長と利上げ長期化を予想=アライアンス
<アライアンス・バーンスタイン(ニューヨーク)のシニアエコノミスト、エリック・ウィノグラッド氏>
ジャクソンホール会議における米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の発言は予想通りであり、ここ数日の他のFRB幹部の発言とも一致していると言えるだろう。
FRBがインフレ抑制に苦戦しているため、トレンドを下回る成長と持続的な金融引き締めが続くと予想しており、まさにそれが今日の講演でパウエル議長が語ったことでもある。われわれの見方やポートフォリオに大幅な変更を迫るものではなかった。
株式市場は、金利が予想以上に長く上昇し続ける可能性があるという見通しにより多少伸び悩むかも知れないが、われわれはそれをサプライズとは考えていない。
●予想通りタカ派的、利下げ急がずとの見解を暗に支持=ING
<ING(ロンドン)のシニア金利ストラテジスト、アントワーヌ・ブーベ氏>
予想通りタカ派的な内容だった。連邦準備理事会(FRB)のインフレとの戦いはまだ終わっていないという、パウエル議長のメッセージは明確だった。
議長は現時点での金融市場に対する主なリスクである金融情勢に関する明確な言及は控えたが、FRBは来年に入っても利下げを急がないという他の連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーのコメントを暗黙のうちに支持した。