[東京 5日 ロイター] – 経団連の十倉雅和会長(住友化学会長)は5日午後の記者会見で、為替相場について「今の円安は投機的な動きが多い」とした上で、「投機的な円安の動きで金融政策の方向性を議論するのはなじまない」との認識を示した。
ドル/円は足元140円台半ばと24年ぶりの高水準での推移を続けている。十倉会長は為替の動きについて、米国でインフレ抑制のための金融引き締めが加速する中で投機的な資金によってドル買いが進んでいると分析。「日銀の金融政策を少しいじってマイナス金利を0%や0.5%にしても、(円安基調が)変わるわけではない」と述べた。
一方で、日本で1―2%の持続的なインフレが続く場合は「異次元緩和がいいかどうかということも含めて金融・財政政策をしっかり議論したらいい」と指摘した。
また、円安により食料やエネルギー自給率の低さを確認したことから、日本経済を強じん化させるためにはグリーントランスフォーメーション(GX)や農業の生産性など産業競争力を高めていく必要があるとの見解を示した。
政府の水際対策の緩和については、評価はしつつも十分ではないと指摘。日本への入国者の9割が観光客でそのうちの8割が個人旅行者と説明した上で、ビザの免除や個人旅行の解禁など個人旅行者への対策が追い付いていないとして、迅速な対応を求めた。