[ロンドン 5日 ロイター] – 英国の与党保守党は5日、ボリス・ジョンソン首相の後任となる党首にエリザベス・トラス外相を選出した。サッチャー元首相、メイ前首相に続き英史上3人目の女性首相が誕生する。

投票結果は、トラス氏が57.4%(8万1326票)を獲得、リシ・スナク前財務相は42.6%(6万0399票)だった。事前の党員への調査でもトラス氏が一貫してリードしていた。

トラス氏は党首選出の発表を受け「今後2年の間に成果をあげる必要がある。減税と経済成長のための大胆な計画を実現する」と表明。エネルギー危機を受けた国民の負担増の問題に対処するとともに、エネルギー供給に関する長期的な問題にも取り組む」と述べた。

トラス氏の得票率は想定よりもはるかに低く、保守党内の深い溝を示した。得票率の差は今世紀に行われた党首選で最低だった。また、投票率は約80%で、トラス氏の支持率は50%を下回った。

トラス氏は選出後の演説で、解散総選挙を否定し、2024年の次期総選挙で保守党に「大勝利」をもたらすと確約。「私は保守党として選挙戦を戦い、保守党として政権を担当する。これからの2年間で成果を出す必要がある」と述べた。

スナク氏はツイッターで「新党首のトラス氏が困難な時代を切り抜けるために、われわれが今、団結するのは正しいことだ」と述べた。

ジョンソン首相は6日にエリザベス女王に面会し正式に辞任を申し出る予定。これに続きトラス氏は現地時間6日午後0時10分(日本時間午後8時10分)にスコットランドのバルモラル城を訪れ、エリザベス女王から正式に次期首相に任命される見込み。その後、午後0時40分にはバルモラル城を後にするという。

ジョンソン氏はツイッターで「トラス氏には生計費危機に対応し、党を団結させ、国を統合し水準を押し上げる素晴らしい取り組みを続けるための適切な計画があると確信している」と指摘。「今こそ、全ての保守党員がトラス氏を100%支持する時だ」と述べた。

トラス氏は党首選挙戦中、エネルギー価格高騰問題と将来の燃料確保に向けた計画を1週間以内に打ち出す方針を示していた。

また増税の撤回などエコノミストからインフレに拍車を掛けると指摘される政策を提言。さらにイングランド銀行(英中銀)の独立性にメスを入れるかのような発言もしてポンド売り、英国債売りを呼んでいた。ベイリー中銀総裁は先月、英中銀が政府から独立して政策を決定することが重要だと述べている。