[東京 27日 ロイター] – 政府・与党は27日、総合経済対策の全容を固めた。焦点となる規模は財政支出ベースで39.0兆円とし、民間企業の支出も含めた事業規模を71.6兆円とする。ロイターが最終案を確認するとともに、政府・与党関係者が明らかにした。
新型コロナウイルス禍を受けた大規模な対策を除けば、消費税引き上げ後の2019年12月に当時の安倍内閣がまとめた経済対策(財政支出13.2兆円、事業規模26.0兆円)、参院選勝利後の2016年8月の対策(財政措置13.5兆円、事業規模28.1兆円)を大幅に超える規模となる。
対策を膨らませることで物価高や円安に対処するほか、世界的な景気減速懸念に備える狙い。複数の関係者によると、岸田文雄首相が鈴木俊一財務相に予算規模を拡大するよう指示する異例の措置を取り、歳出を積み上げた。財政支出は当初案から4兆円上積みした。
財政支出のうち国・地方の歳出を37.6兆円、財政投融資を1.4兆円とする。国の支出である国費は35.6兆円となる。
国費のうち2022年度2次補正予算は29.6兆円と想定。一般会計で29.1兆円、特別会計で0.5兆円としている。財投追加額は1.0兆円とする。
総合経済対策は、1)物価高騰への対応と賃上げ加速、2)円安を生かした稼ぐ力の強化、3)新しい資本主義の加速、4)国民の安全・安心の確保――を柱とし、28日に閣議決定する。
財政支出ベースでは物価高騰・賃上げ対策に12.2兆円、円安対策に4.8兆円をそれぞれ計上する。岸田首相が看板政策とする新しい資本主義実現に6.7兆円を充て、国土強靭(きょうじん)化などに10.6兆円を支出する。新たに「今後への備え」との枠を設け、4.7兆円の財政支出を見込む。
最終案によると、事業規模としては物価対策37.5兆円、円安対策8.9兆円、新しい資本主義実現9.8兆円、国土強靭化10.7兆円などとなる。
(山口貴也)