「謎の『鯨』に金市場は当惑-調査リポートが中銀の大規模購入を示唆」―bloombergが今朝2時38分に配信した記事だ。どこかの国の中央銀行が大量に金を購入しているとの調査報告書をリポートしている。この報告書は「ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)」という会社がまとめたもの。ウキペディアによると同社は「金業界の市場開発組織です。金の需要を刺激し、維持することを目的として、金の採掘から投資まで、業界のすべての部分で機能します。 彼らは、投資家と国の両方にとって、富の保護者としての金の強さを実証する研究を頻繁に発表しています」とのこと。金業界では名の通った会社らしい。その会社のリポートというから中身は確かだろう。それによると「(どこかの)中銀は7-9月(第3四半期)に399トンの金を購入。これまでの最大記録の2倍近くとなった」としている。

買い手のうち名前が判明しているのは全体の25%弱、残りの買い手は不明。「謎の買い手を巡り観測が飛び交っている」とある。金市場といってもマーケットの規模はそれほど大きくはない。そこに突然、どこかの国の中央銀行が大量に買いを入れたというのだから、市場関係者の間でさまざまな憶測が飛び交うのは当たり前だろう。中央銀行というは外貨準備の運用先として金を保有するケースがある。報告書を受けてブルームバーグは「謎の買い手」を巡ってさまざまな推理を展開している。世界中でインフレが蔓延しているのだから、金は将来的な値上がりが期待できる。中銀が外貨準備の防衛策として金を購入するという行為は理にかなっている。金を大量に購入するのだから買い手は金持ちだろう、誰もが想像することだ。すぐに思い浮かぶのは世界第2位の経済大国にのしあがった中国だ。

だが、中国は金の保有残高を公表していない。この国が「鯨」の正体と確定するのは至難の業。次に思い浮かべるのはロシア。同国は世界第2位の金産出国でもある。ウクライナ戦争で世界中の非難を浴びていれるが、原油価格の高騰によって外貨収入が潤沢にある。インフレの蔓延で世界の金需給は売りが大幅に上回っている。ロシアは金産出国として水面下で市場価格の維持に動いているのでは、推測すればこんなことか。あとは原油輸出国ぐらいか。こちらもロシアと同様ウクライナ戦争の恩恵を受けて石油収入が急増している。将来の金価格上昇を当て込んだ投資として金を購入している。考えられるシナリオだ。あとはアメリカと日本ぐらいか。米国はケンタッキー州のフォートノックスにすでに大量の金塊を保有している。中間選挙で尻に火がついているバイデン政権に考えるそんなことを考える余裕はないだろう。日本は、ここでも世界の孤児。あり得ない。