[パリ 8日 ロイター] – フランスの自動車大手ルノーは8日、事業を5部門に分割すると発表、2025年の営業利益率を8%とする目標を示した。電気自動車(EV)部門は来年の上場を目指す。 営業利益率は30年には10%を超える見通し。今年は5%を見込んでいる。
来年は4年ぶりの復配を予定していると明らかにした。23─25年に年間20億ユーロ以上のキャッシュを創出し、その後の5年間で30億ユーロ以上に増やすことを目指す。
エンジン部門については、ルノーと中国・浙江吉利控股集団(吉利集団)の乗用車大手、吉利汽車が8日、ガソリンエンジンとハイブリッド車(HV)のシステムを供給する新会社の設立で大筋合意したと発表した。新会社には両社が折半出資する。
ルノーは各部門で外部出資を目指す方針を示したが、アライアンスのパートナーである日産自動車との関係については明らかにせず、今後の進展が注目される。
日産はルノーのEV事業に他の投資家とともに出資するとみられているが、ルノーは過半数を維持する方針だ。
ルノーのルカ・デメオ最高経営責任者(CEO)は、アライアンスについて強固な未来と新たなチャンスを欲しているとしたが、関係については各社が独自性や独立性を持つことが重要と指摘した。
アライアンス協議は、合意のメドとする15日の期限まであと1週間となったが、関係筋によると同日に何らかの発表は見込まれていない。
日産は、新EV会社への出資規模は検討中と発表。今後のアライアンスも必要な時間をかけて議論を進めており、実りある議論が順調に進展していると明らかにした。
ルノーは新EV部門を「Ampere(アンペア)」、吉利と手掛けるエンジン部門を「Horse(ホース)」と呼んでいる。このほかスポーツ車のアルピーヌ、金融サービス、モビリティーおよびリサイクルサービスで5事業は構成される。
ルノーのCEOは会見で、「われわれは独立した事業を創造している。構造的により収益性の高い分野に焦点を当て、外部からの投資受け入れに柔軟で、それぞれが固有の技術を中心に据えている」と述べた。
旧来のルノーは、5種目全てで金メダルを取ろうと苦闘する五種競技の選手のようなものだったと語った。
新しい5つの事業でそれぞれ最適なパートナーと組むことで「ルノーは5種目全てで平均的な水準にとどまるのではなく、全種目でメダルを獲得したいと考えている」と述べた。
日産との協議に関するニュースがなかったことから、ルノーの株価は序盤の取引で4%超下落した。午後には2%安に戻している。
RBCのアナリスト、トム・ナラヤン氏はリポートで「多くの投資家にとって重要な株価上昇要因である日産の収益化について、予想通り言及されていない」と指摘した。